ソナタsonataの縮小辞。すでに17世紀後半に,カンタータや組曲など多楽章作品の器楽序奏部の意で用いられていたが,ふつうには,展開部がないか,あるいはまったく簡略化されたソナタ形式を第1楽章とし,全体は二つないし三つの楽章から成るやさしく短いソナタをいう。18世紀末から19世紀初めのクレメンティ,クーラウFriedrich Kuhlau(1786-1832),ディアベリAnton Diabelli(1781-1858)らの教育用ピアノ独奏曲に多くこの名が付されている。初心者に愛奏されているモーツァルトのハ長調(K.545),ベートーベンの作品49の2曲(ト短調とト長調)のソナタも実質的にはこれに類する。19世紀ロマン派盛期にはほとんど忘れられたが,20世紀初頭,ラベル,ブゾーニ,プロコフィエフらがその新古典主義的作風において佳品を残している。
執筆者:小林 緑
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音楽用語。ソナタの縮小形で、ソナチナ、ゾナチーネの日本での通称。この使用例はすでに17世紀にみられるが、今日の意味では18~19世紀の変り目ごろから使われだした。ソナタ自身が肥大化していっても、相変わらず小規模なソナタは書かれ続けており、この用語は、プロのためのものでない、愛好家や初心者のための演奏の容易なもの、という意味も込められて、楽曲のタイトルとして登場するようになった。クーラウFriedrich Kuhlau(1786―1832)やクレメンティMuzio Clementi(1752―1832)のピアノのためのソナチネは初心者用の練習曲として知られている。このことばが使われるのは圧倒的にピアノのための作品においてで、ピアノとバイオリンという編成の作品にときどきみられることはあっても、それ以外の編成ではほとんど例がない。なお、この用語の一般化しない時期の小規模なソナタが、このことばでよばれてしまうこともある。
[大崎滋生]
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「ソナティナ」のページをご覧ください。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…また交響曲も管弦楽のための一種のソナタである。比較的演奏が容易で小規模なソナタはソナチナsonatina(複数形ソナチネ)と呼ばれる。 ソナタの語源はイタリア語の動詞ソナーレsonare(〈鳴り響く〉〈楽器を奏する〉)の過去分詞女性形の名詞化。…
…また交響曲も管弦楽のための一種のソナタである。比較的演奏が容易で小規模なソナタはソナチナsonatina(複数形ソナチネ)と呼ばれる。 ソナタの語源はイタリア語の動詞ソナーレsonare(〈鳴り響く〉〈楽器を奏する〉)の過去分詞女性形の名詞化。…
※「ソナチネ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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