日本大百科全書(ニッポニカ)「トフラー」の解説
トフラー
とふらー
Alvin Toffler
(1928―2016)
アメリカの未来学者。ニューヨークに生まれる。1949年ニューヨーク大学卒業後、中西部工業地帯で溶接工として働く。このとき労働組合関係の雑誌に健筆を振るい、5年後にジャーナリスト専業の道へと進む。当初はホワイトハウス担当の政治労働問題記者であったが、ビジネス問題に活躍の場を広げ、1959年から2年間『フォーチュン』誌の准編集者をつとめた。『文化の消費者』(1964)で鋭い洞察力が注目され、『未来の衝撃』(1970)はトフラーの評価を不動のものとした。その後も『第三の波』(1980)などの話題書を続々と世に送り出した。それらの代表ともいうべき『第三の波』は、高度情報化社会へのシナリオでもあるが、突出的な社会現象をジャーナリスティックに取り上げ、その底流となる社会の変革方向を巧みにえぐり出すというトフラー一流の筆致で貫かれている。在宅勤務や電子情報化家庭などの新語が生まれたのもこの書でのことであった。コーネル大学客員教授なども務め、ニューヨーク大学、マイアミ大学などから名誉博士号の学位も贈られている。しばしば来日している。
[安田寿明]
『徳山二郎他訳『第三の波』(1980・日本放送出版協会)』▽『アルビン・トフラー、ハイジ・トフラー著、山岡洋一訳『富の未来』上下巻(2006・講談社)』▽『徳山二郎訳『未来の衝撃』(中公文庫)』