翻訳|trough
細長いが、海溝よりは幅広く浅い海底のくぼみ。舟状海盆ともよばれている。外形による名称なのでその成因、構造などにより、いろいろな様態がある。たとえば、紀伊半島沖から四国の沖合いにかけて横たわる南海トラフは、最深部でも5000メートルに満たないが、あまり深くない深発地震を伴っており、プレートの沈み込みによってできた海溝と同じ性格をもっている。海溝のごく初期の状態と考えられている。東シナ海の琉球(りゅうきゅう)列島沿いにある沖縄トラフは、幅はわずか30キロメートルであるが、最深部は2370メートルあり、長さも1000キロメートルを超える。地殻熱流量が異常に高く、拡大しつつある縁海の初期の状態と考えられている。
[安井 正]
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(小林和男 東京大学名誉教授 / 2007年)
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…日々の状態の典型的な場合,圏界面は南から熱帯圏界面,中緯度圏界面,寒帯圏界面に分かれ,各圏界面間にはギャップがあるが,この位置に南からそれぞれ亜熱帯ジェット気流,寒帯前線ジェット気流が存在している(図2)。 亜熱帯ジェット気流は定常性が強く,ほぼ緯度線に沿い,図3のように,トラフの所で南下,リッジの所で北上と波打ちながら地球を取り巻いている(波動状の気圧分布において気圧の低い所をトラフ(気圧の谷),気圧の高い所をリッジ(気圧の峰)という。図4参照)。…
…なお,細長い深い溝状の海底地形でも,明らかに沈み込み以外の原因(例えばトランスフォーム断層)だけでできたものは海溝とはよばない(例えば大西洋中部のロマンシュRomanche断裂帯(最深部の水深7800m)はかつては海溝とよばれた)。一方,明らかに沈み込みによって生じた地形でも最深部の水深が6000m以浅の時は海溝とよばず,トラフtroughとして一括する習慣である(例えば南海トラフ,駿河トラフ)。 測鉛による測深を行っていた時代には,たまたま見つけた海溝内の深部に,海淵(かいえん)deepと名づけ,チャレンジャー海淵などの固有名詞を用いたこともあった。…
… 中軸谷median valleyrift―rift valley―中央海嶺系の軸部の凹み。 トラフtrough舟状海盆ともいう。海底の長い凹みで,特徴として平たんな底と急峻な斜面を有し,ふつう海溝よりは浅いもの。…
…途中に深海テラスおよびベンチとよばれる棚状の地形が見られることも多く,二つのテラス間が堆積物で埋まって深海平たん面とよばれる平らな地形をつくっている所もある。陸側斜面には沈み込む海底側からはがれた堆積物が下から押しつけられている所(南海トラフなど)と,海側の沈み込みによって陸側の先端が削りとられて沈降している所(マリアナ海溝など)がある。 海溝軸に沿ってかなり活発な地震活動があり,陸の下へ斜めに傾く深発地震面が明瞭に描ける所も多い。…
…スンダ陸棚は大陸地殻を有する浅海で,本質的には大陸プレートである。海洋地殻を有する縁海にもいろいろあって,マリアナ海溝背後のトラフは地殻熱流量が高く,地形は起伏が激しく堆積物がほとんどなく,水深は比較的浅くて地磁気異常の年代は若いので,中央海嶺と同様,現在新しく海底が形成されつつある縁海だと考えられている。一方,日本海盆や千島海盆は地殻熱流量が高く,かつては活動的な縁海だと考えられていたが,水深が深く,堆積物も厚くて地形は平たんであり,ここで発生する地震は,展張よりはむしろ圧縮の地震であることなどから,現在では拡大を停止した縁海であると考えられている。…
※「トラフ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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