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トンネル効果 とんねるこうか

ASCII.jpデジタル用語辞典の解説

トンネル効果

我々の世界では通常、壁を通り抜けることはできない。しかし、量子力学の世界では、壁を通り抜けることがある。本来、通り抜けられないはずの壁を、ある確率で通り抜けてしまうことを、トンネル効果と呼ぶ。これは、原子や電子の持つエネルギーが不確定で、ある瞬間には壁を通り抜けてしまうほど大きくなることがあるためだ。トランジスタの黎明期、不良品が大量発生した理由がトンネル効果であることを見抜いたのが江崎玲於奈氏である。

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知恵蔵の解説

トンネル効果

極めて薄い、エネルギーの壁(ポテンシャル障壁)を、それより低いエネルギーを持った粒子が通り抜けてしまう現象。量子力学の世界に特徴的な現象。半導体、金属、超伝導体などの同種または異種物質間の接合部分でもトンネル効果で電流(トンネル電流)が流れることがある。この現象を利用したものにエサキ・ダイオード、共鳴トンネル効果デバイス、ジョセフソン素子走査型トンネル顕微鏡などがある。

(荒川泰彦 東京大学教授 / 桜井貴康 東京大学教授 / 2007年)

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百科事典マイペディアの解説

トンネル効果【トンネルこうか】

原子核内の核子(陽子,中性子)は強い核力を受けて核内に閉じこめられているが,これは核力の場のポテンシャルが壁のようにとりまいているためと解することができる。古典力学によれば,核子の運動エネルギーのレベルがポテンシャルの壁より低ければ,核子は絶対に外へ出られない。
→関連項目ジェーバージョセフソンジョセフソン効果走査型トンネル顕微鏡

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法則の辞典の解説

トンネル効果【tunnelling effect】

2種類の金属の間に薄い絶縁物の層(障壁)を挟み,両端に電圧を印加するとき,絶縁層の厚さがきわめて薄く,ナノメートル(nm)の桁になると電流が流れるようになる現象.不純物濃度が比較的高い半導体材料を用いてpn接合をつくらせると,遷移領域(上の障壁に当たる)が10nmほどでもトンネル効果によって電流が流れるようになり,順方向に負性抵抗を生じる.これは江崎玲於奈(当時は東京通信工業(ソニーの前身),後に筑波大学学長)の発見になり,このpn接合はエサキダイオードと呼ばれている.

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世界大百科事典 第2版の解説

トンネルこうか【トンネル効果 tunnel effect】

電子や原子核のような微小な粒子は力の場の障壁を透過しうるという,量子力学特有の効果。古典力学では,運動エネルギーはつねに正である。したがって,粒子はポテンシャルエネルギーが粒子の全エネルギーより大きい領域には侵入できず,運動エネルギーが0になる点ではね返される。しかし,量子力学的粒子は古典力学で考えるような粒子の性質と同時に,ド・ブロイ波と呼ばれる波動としての性質をもつので,運動エネルギーが負となるような領域にもわずかに侵入できる。

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大辞林 第三版の解説

トンネルこうか【トンネル効果】

古典力学では粒子がポテンシャルの山を越えるのにはその極大値より高いエネルギーをもたねばならないが、量子力学ではこれより低い運動エネルギーでも山の向こうへ抜ける確率があることをいう。原子核の α 崩壊や、トンネル-ダイオードなどに見られる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

トンネル効果
トンネルこうか
tunnel effect

ポテンシャル障壁があるとき,その最高値より小さい運動エネルギーしかもたない粒子でも,その中にしみこんだり,障壁を通り抜けたりすることができるという現象。古典力学では説明できず,量子力学的な考慮が必要である。原子核のα崩壊エサキダイオードジョセフソン効果などはトンネル効果によって説明される。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

トンネル効果
とんねるこうか

α(アルファ)崩壊により原子核から放出されるα粒子のエネルギーは、α粒子が外に出るときに超えねばならないポテンシャル・エネルギーの高さよりも小さいことが多い。このようにポテンシャルの高さより低いエネルギーの粒子がポテンシャルを通過する現象をトンネル効果という。では、ポテンシャルV(r)のもっとも高い値VMよりエネルギーの低い粒子がポテンシャルを通過していく。このような現象は通常の古典力学の法則に従う場合には絶対おこらないことであり、量子力学的な運動に由来する。きわめて薄い金属箔(はく)を光がわずかに透過するのと似ている。透過の割合はポテンシャルと粒子のエネルギーを示す線で囲まれた領域の面積によってきわめて敏感に変わる。たとえば、ウランの原子核から420万電子ボルトのα粒子がこのポテンシャルの壁を通過する確率は10-37くらいの確率であるが、これよりも100万電子ボルト高いα粒子であれば確率が5×107も大きくなる。実際のα粒子がウランから飛び出る割合は、α粒子が原子核内で毎秒1021回もポテンシャルの壁と衝突するので、この確率よりずっと大きくなる。半導体や金属面の接触によって生じる電子の流れはトンネル効果による。とくに不純物の多い半導体に負の抵抗が生ずるエサキダイオードやジョセフソン効果はトンネル効果の典型的な例である。[田中 一]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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