なら(読み)ナラ

デジタル大辞泉 「なら」の意味・読み・例文・類語

なら[副助・並助]

[副助]断定助動詞「なり」の未然形から》体言に付く。話題となるものを取り上げて示す。…について言えば。「母なら間もなく帰ると思います」
[並助]近世語》いくつかの事柄を並列して言うのに用いる。…といい、…といい。→なり[並助]
「姿―面体―、京のどなたの奥様にも誰が否とはいなば山」〈浄・堀川波鼓

なら[助動]

[助動]
《断定の助動詞「だ」の仮定形》⇒[助動]
《断定の助動詞「なり」の未然形》⇒なり[助動]

なら[接]

[接]それなら」のくだけた言い方。じゃあ。「もう片付いたのか。なら帰るよ」

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精選版 日本国語大辞典 「なら」の意味・読み・例文・類語

なら

  1. [ 1 ] ( 断定の助動詞「だ」の仮定形 ) ⇒助動詞「だ」
  2. [ 2 ] 〘 副詞助 〙 ( 体言に付いて ) いくつかの事柄を並列していうのに用いる。…といい、…といい。
    1. [初出の実例]「大節季に一門中から寄る餠なら肴物なら、それはそれは堺が広けれども」(出典:浮世草子・好色一代女(1686)四)
  3. [ 3 ] 〘 接続詞 〙 「それなら」の意のくだけたいい方。
    1. [初出の実例]「合点。なら今日連れて退(の)きたい」(出典:歌舞伎・今源氏六十帖(1695)一)

なら

  1. 〘 名詞 〙 ( 「おなら」の略 ) 屁(へ)。また、屁をひること。もと女房詞。
    1. [初出の実例]「女ごの口からならとは、取はづして麁相(そさう)いふな」(出典:浄瑠璃・姫小松子日の遊(1757)二)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「なら」の意味・わかりやすい解説

ナラ
なら / 楢

ブナ科(APG分類:ブナ科)コナラQuercusのコナラ亜属Lepidobalanusのうち、落葉性の種をさす総称。日本ではコナラ、ミズナラナラガシワを一般にナラ類とし、同亜属のクヌギカシワなどは含まない。ナラ類のうちコナラは日本全土の低山地から平地雑木林に普通に分布する。古来より薪(まき)やナラ炭として重要であったが、近年はもっぱらシイタケ栽培の原木として利用されるくらいである。

 また、コナラより高い所に生育するミズナラは大径木が残っており、高級家具材として有用となってきている。一方、ナラと対照されるカシ類はコナラ属アカガシ亜属Cychrobalanopsisに含まれ、すべて常緑であり、東南アジアと日本のみに約50種が分布する。

[萩原信介 2020年1月21日]


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改訂新版 世界大百科事典 「なら」の意味・わかりやすい解説

ナラ (楢)
oak

ブナ科コナラ属Quercusのうち落葉性のコナラ亜属樹種が一般にナラ類と総称される。英語のオークもふつうは落葉性のナラ類をさすが,常緑性の種も含むコナラ属全体を意味することもある。しかし日本でナラといえば,ミズナラおよびコナラ,ときにナラガシワQ.aliena Blumeを含めたものをさし,炭焼きや林業家も同じコナラ亜属のカシワあるいはクヌギおよびアベマキなどとは区別している。形態的にも顕著な違いがあり,ミズナラやコナラは葉が倒披針形で,どんぐりが1年で熟し殻斗鱗片は短く覆瓦状であるが,カシワは殻斗の鱗片が長く葉も大きい。一方,クヌギとアベマキは葉が披針形で細長く,どんぐりが2年目に熟して殻斗の鱗片が長い。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「なら」の意味・わかりやすい解説

ナラ(楢)
ナラ
Quercus spp.

北半球の温帯から熱帯の高地に分布するブナ科カシ属 Quercusの高木のうち,コナラ (小楢)ミズナラ (水楢),ナラガシワなど日本に産する落葉性の種類の総称。同属の植物でも葉質の硬い,常緑性の種類は通常カシと呼んで区別する。しかし分類学上のナラとカシの差は堅果,いわゆる「どんぐり」の基部につく殻斗 (かくと) の包鱗のあり方で,カシ類が数層の横輪状になるのに対し,ナラ類は包鱗が癒着せず,敷瓦状に並ぶ点が異なる。その意味では西日本の海岸に生じるウバメガシ Q. phillyraeoidesは常緑ではあるがナラ類に入れられる。普通単にナラと呼ぶときはコナラをさすことが多いが,用材としてはミズナラが重視される。この仲間の葉は互生し縁に鋸歯がある。雌雄同株。4~5月頃,新葉下部に紐状の雄花穂,上部の葉のつけ根に短い直立した雌花穂をつける。どんぐりと呼ばれる堅果は楕円または球形で,基部を包む椀形の総包は多くの鱗片が重なる。ナラ材は重硬,緻密で,家具,船舶,建築などのほか洋酒の樽材,シイタケの原木,薪炭材となる。また,樹皮や葉を染色に用いることもある。

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百科事典マイペディア 「なら」の意味・わかりやすい解説

ナラ(楢)【ナラ】

ふつうコナラとミズナラ(ときにはナラガシワを含めることもある)をさす。北海道〜九州の山野にはえるブナ科の落葉高木。樹皮は灰褐色〜灰白色で縦に浅い割れ目が入る。葉は枝先に集まってつき,倒卵形〜倒披針形,下面は淡緑色〜灰白色,縁には鋸歯(きょし)がある。雌雄同株。4〜5月開花。雄花穂は新枝の下部から出て尾状にたれ下がり,多数の黄褐色の小花をつける。雌花穂は新枝の上部の葉腋に数個つく。果実は長楕円形のどんぐりで,その年の秋に褐色に熟す。コナラは葉が小さく長さ7〜10cm,明らかな葉柄がある。ミズナラはコナラに比べ,葉は大きく長さ7〜15cm,葉柄はきわめて短いかほとんどなく,鋸歯は大型で鋭く,果実のどんぐりは大きい。より高地にはえる。ともに材を建築材,器具,船舶用材,薪炭とする。
→関連項目小田代原

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世界大百科事典(旧版)内のならの言及

【ナラ王物語】より

…サンスクリット原名は《ナローパーキャーナNalopākhyāna》。もと,叙事詩第3巻は王国を追われた悲運の王子の森林生活を描くため,一時的に不幸に襲われても必ず最後に幸福が訪れる古譚を語って,仙人たちが王子を激励する物語が繰り返され,ナラ王物語もこの種の物語の一環をなすが,内容の興味と描写の美しさから,つとにインドの内外で愛好されている。若くして武術に令名を馳せた美貌の王子ナラ王と隣国の王女ダマヤンティーは,ハンサ鳥の取りもつ縁で相思相愛の間がらとなり,神々の試練を経てめでたく結婚し,1男1女をもうける。…

【オーク】より

…ブナ科コナラ属Quercusの樹木の総称的英名。コナラ属は約400種の樹木からなり,主として北半球の温帯から熱帯に分布する。…

【コナラ】より

…薪炭材にしたり,落葉を肥料にするなど農山村の生活と密接なかかわりを持っていた。材は建築,家具などに用いられるが,ミズナラほど優秀でない。 ミズナラQ.mongolica Fischer var.grosseserrata (Bl.) Rehd.et Wils.はコナラより高い所に生え,大木で森林をなす。…

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