ニトロメタン(その他表記)nitromethane

デジタル大辞泉 「ニトロメタン」の意味・読み・例文・類語

ニトロメタン(nitromethane)

ニトロ化合物の一。無色液体水溶性。工業的にプロパン硝酸を加熱してニトロ化することで生産される。アルカリ金属とのは爆発性がある。ドラッグレースなどのモータースポーツ燃料として用いられる。化学式CH3NO2

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改訂新版 世界大百科事典 「ニトロメタン」の意味・わかりやすい解説

ニトロメタン
nitromethane

クロロホルムに似たかなり強い臭気をもつ無色の液体で,化学式CH3NO2。融点-28.37℃,沸点101.25℃。エーテル,アルコール,四塩化炭素,芳香族炭化水素によく溶けるが,脂肪族炭化水素にはあまり溶けない。水に少し溶け,また水もニトロメタンに少し溶ける。水溶液はリトマス試験紙で酸性を呈する。構造としては,微量に存在するアシニトロ型(イソニトロ型)との互変異性を示す(ニトロ化合物)。したがって水酸化アルカリと反応しアシニトロ型の爆発性のアルカリ塩を生ずる。種々の染料油脂,蠟,セルロース誘導体,樹脂類を溶解し,とくにニトロセルロースアセチルセルロースなどのよい溶剤で,塗料の分野でよく用いられる。激しい衝撃で爆発し,また弱いながら毒性を有する。実験室的には,モノクロロ酢酸ナトリウムCH2ClCOONaと亜硝酸ナトリウムNaNO2との反応からニトロ酢酸CH2(NO2)COOHを経て合成するか,臭化メチルCH3Brと亜硝酸銀AgNO2との反応で合成する。工業的には,プロパンなどの低級炭化水素ガスを高温下硝酸でニトロ化した生成物の分留で得られる。
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化学辞典 第2版 「ニトロメタン」の解説

ニトロメタン
ニトロメタン
nitromethane

CH3NO2(61.04).クロロ酢酸と亜硝酸ナトリウムとを加熱するか,ヨウ化メチルに亜硝酸銀を作用させると得られる.無色の液体.融点-29 ℃,沸点101.2 ℃,46.6 ℃(13.3 kPa),27.5 ℃(5.3 kPa).1.1322.1.3806.水に難溶,エタノール,エーテル,ジメチルホルムアミドに可溶.水溶液は酸性を呈する.ニトロン酸としてアルカリ金属と塩をつくり,爆発性の固体となる.溶剤,ロケット燃料,界面活性剤,医薬品原料などに用いられる.有毒である.[CAS 75-52-5]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニトロメタン」の意味・わかりやすい解説

ニトロメタン(データノート)
にとろめたんでーたのーと

ニトロメタン
  CH3NO2
 分子量  61.0
 融点   -28.37℃
 沸点   101.25℃
 比重   1.1580(測定温度4℃)
 屈折率  (n)1.3797
 燃焼熱  169.5kcal(定圧、液体)


ニトロメタン
にとろめたん
nitromethane

脂肪族ニトロ化合物の一つ。無色の液体。水に約9%溶け酸性を示す。有機溶媒に易溶、金属塩は爆発性がある。蒸気も液体も有毒で、貧血や神経系、肝臓、腎臓(じんぞう)の障害をおこす。プロパンの気相ニトロ化により工業的に生産される。

 ロケット推進薬、タンパク質や高分子化合物の溶媒、殺菌剤などの合成原料として用いられる。

[加治有恒]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ニトロメタン」の意味・わかりやすい解説

ニトロメタン
nitromethane

化学式 CH3NO2 。種々の製法があるが,実験室ではヨウ化メチルに亜硝酸銀を作用させてつくる。無色,酸性の液体。沸点 101.2℃。アルカリと塩をつくる。この塩は容易に爆発する性質をもつ。ロケットの燃料,ゼイン (蛋白質の一種) の溶媒,有機反応の試薬などとして用いられる。有毒である。

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