ニース条約(読み)ニースじょうやく(英語表記)Nice Treaty

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ニース条約
ニースじょうやく
Nice Treaty

2000年 12月,フランスのニースで開かれたヨーロッパ連合 EU首脳会議で採択された EUに関する基本条約。アムステルダム条約を改正したもので,将来の EU加盟国拡大に向けて,政策の決定や手続きの効率化と機構改革をはかった。具体的には,決定機関であるヨーロッパ連合理事会(閣僚理事会)で,全会一致を必要としない多数決制を適用する分野を通商や地域振興などの分野に拡大し,多数決の基礎となる加盟各国の投票持ち数を大幅に増やしたうえ再分配した。一部の加盟国だけで共通政策を進めることができる先行統合についてはその実施を容易にするため,必要な参加国数を現行の過半数から最低8ヵ国と引き下げた。また,行政機関であるヨーロッパ委員会の構成委員は 2004年 11月から各国1人とし,さらに将来 27加盟国となった場合は,委員数は加盟国数をこえないよう固定し,公平性を考慮して輪番制とする。条約は 2001年2月に調印され,2003年2月に発効した。

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百科事典マイペディアの解説

ニース条約【ニースじょうやく】

ヨーロッパ連合(EU)諸国が中東欧諸国などへの加盟国拡大に備えて2001年2月調印した条約。従来のマーストリヒト条約アムステルダム条約などの諸条文を改定し,加盟国のうち8ヵ国の参加などを条件に統合政策を率先して進める〈先行統合〉や,7割強の票で多数決が成立する採決方式を導入した。条約は2003年2月に発効し,2004年には中東欧など10ヵ国が加盟,25ヵ国体制に移行した。2002年2月の〈EUの将来についてのラーケン宣言〉にもとづき,拡大EUの運営について〈EU憲法条約〉が2004年6月採択された。
→関連項目リスボン条約

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大辞林 第三版の解説

ニースじょうやく【ニース条約】

2000年フランスのニースで合意され、2001年締結されたヨーロッパ連合の基本条約。アムステルダム条約を改訂。意思決定を迅速化するための多数決制度の適用分野の拡大、共通政策実施による一部加盟国の先行統合などを定める。2003年発効。 → アムステルダム条約

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ニース条約
にーすじょうやく

EU(ヨーロッパ連合)条約(原型はマーストリヒト条約)を改正したアムステルダム条約に次いで、再改正した条約。2001年2月フランスのニースで締結、2003年2月発効。改正の主眼はEUの機構改革にあった。背景には2004年の東欧と南欧の10か国のEU加盟がある。それにより15か国から25か国体制となるため、EU運営の効率と安定を維持する改革に取り組んだ。たとえば、欧州委員会(ヨーロッパ委員会)の委員数の制限(大国2名、中小国1名から各国1名へ)。欧州議会(ヨーロッパ議会)の各国議席の再配分。閣僚理事会の全会一致事項の削減(外交安保、社会保障、税制などは全会一致を維持)。閣僚理事会での多数決を三重多数決方式へ変更。同方式は、(1)過半数の国の賛成、(2)各国の人口に応じた各国加重票数による多数、(3)確認請求があれば、多数派国の人口合計がEU総人口の62%以上とならなければ多数決は成立しない、の三つを組み合わせた多数決である。この方式は、拡大後の多数中小国と少数大国との利害均衡を図るために導入された。
 ニース条約はさらに、EUの安全保障政策が軍事防衛政策に及びうることも明示した。そのため同条約の批准段階で、中立政策をとるアイルランドが国民投票で批准をいったん否決した。EU諸国はEUの軍事防衛活動に同国の関与義務がないとの宣言をつけ、第二回国民投票で批准賛成を得、本条約は発効した。ニース条約は最小限の改革にとどまり、抜本的な機構改革やEUの政策の拡充等は将来に持ち越された。[中村民雄]

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