ノスリ(その他表記)Buteo japonicus; eastern buzzard

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノスリ」の意味・わかりやすい解説

ノスリ
Buteo japonicus; eastern buzzard

タカ目タカ科。中型のタカ。かつてノスリはアフリカ大陸とユーラシア大陸に分布する 1種に分類されていたが,今日では分布の西部の鳥はヨーロッパノスリ B. buteo,東部の鳥はノスリとしてそれぞれ独立した種に分けられている。全長は雄 50cm,雌 56cm。翼開張 122~137cm。上面は褐色,下面はクリーム色で,胸から腹に黒褐色縦斑,下面に黒色斑がある。ロシアのバイカル湖からシベリア中部,モンゴルチベット自治区中国北東部,サハリン島千島列島,日本にかけて繁殖分布する。北部で繁殖する鳥は温帯域に渡って越冬する。日本では北海道から四国地方大東諸島小笠原諸島留鳥としてそれぞれ亜種が分布するが,ダイトウノスリ B. j. oshiroi は絶滅した。平地から山地の林で繁殖する。林縁でよく見られ,草原,畑など広い場所に出て枯れ木や杭などに留まってモグラネズミなどをねらい,飛び立って襲いかかる。また空に輪を描いて飛び,停空飛翔をしてから急降下して獲物をとることもある。(→猛禽類

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改訂新版 世界大百科事典 「ノスリ」の意味・わかりやすい解説

ノスリ (鵟)
buzzard
common buzzard
Buteo buteo

タカ目タカ科の鳥。旧北区およびアフリカの一部で繁殖し,冬はアフリカ,南アジア,マレー諸島まで渡る。上面は暗褐色,下面は淡黄褐色に暗褐色の斑紋がある。全長は雄約52cm,雌約57cm。日本ではトビについでふつうに見られるタカで,平地や低山の林,草原,農耕地に多い。ネズミやモグラなどの小哺乳類を多くとり,カエルや小鳥類も食べるが,ほとんどの獲物は地上でつかまえる。尾はトビより短く,帆翔(はんしよう)中のノスリは扇状に広げた先端のやや丸い尾が特徴である。飛翔中に鋭い声でピィョーと鳴く。日本では北海道から九州までの低山帯の山林で繁殖し,高い木の上に小枝を積み重ねて巣をつくり,1腹2~3個の卵を産む。

 ノスリ属の鳥は,日本にはノスリのほか,オオノスリB.hemilasiusとケアシノスリB.lagopusが冬鳥として大陸から少数渡来する。ノスリ属は世界に約25種が分布し,北アメリカではノスリにかわって尾が赤褐色のアカオノスリB.jamaicensisが多く生息している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノスリ」の意味・わかりやすい解説

ノスリ
のすり / 鵟
common buzzard
[学] Buteo buteo

鳥綱タカ目タカ科の鳥。ユーラシアの中部で繁殖し、冬はすこし南へ移動するものもある。地方名をマグソタカともいう。日本では四国以北で繁殖し、留鳥または漂鳥である。ほかに、小笠原諸島(おがさわらしょとう)と大東諸島(だいとうしょとう)にそれぞれ留鳥として分布するものがある。全長約54センチメートル、幅の広い翼と短い円形の尾をもった中形のタカで、体の上面は褐色、下面は淡褐色で、わきは黒褐色をしている。低山の森林にすみ、付近の草原や耕地などの開けた場所で餌(えさ)をあさる。獲物はおもにネズミなどの小形哺乳類(ほにゅうるい)であるが、ヘビトカゲなどもとる。羽ばたかないで輪を描いて飛ぶことが多く、停空飛翔(ひしょう)をよく行う。秋から冬には、低地の農耕地や干拓地、市街地の公園にもくる。ピーエーと鳴く。

高野伸二


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百科事典マイペディア 「ノスリ」の意味・わかりやすい解説

ノスリ

タカ科の鳥。翼長38cm。背面は暗褐色,腹面は黄白色で暗褐色の縦斑が散在。ユーラシア大陸中南部とアフリカの一部に分布。日本では北海道,本州,四国,伊豆七島の山地の林で繁殖し,冬は全国の低山や低地に漂行,農耕地や市街地の公園にも見られる。トビのように上空を旋回しながら獲物を捜し,ネズミなどをみつけると急降下してこれを捕らえる。ピーと鳴く。
→関連項目タカ(鷹)

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世界大百科事典(旧版)内のノスリの言及

【鳥類】より

… 鳥の視力がすぐれているのは,主として視細胞の数が非常に多いことによる。たとえば,イエスズメは視覚面の中心部(網膜中とくに視細胞の密な場所で,鳥には通常2ヵ所ある)で1mm2当り40万個,ノスリでは100万個もある。ヒトは約20万個で,ノスリの視力はヒトの8倍以上と推定される。…

※「ノスリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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