日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハンチ」の意味・わかりやすい解説
ハンチ
はんち
Arthur Rudolf Hantzsch
(1857―1935)
ドイツの化学者。ドレスデンに生まれ、ドレスデン工芸学校(ポリテクニク)、ウュルツブルク大学で化学を学んだ。チューリヒ、ウュルツブルク、ライプツィヒの各大学で教授職を歴任している。ハンチの初期の化学研究は、チアゾールなどの物質を扱う純粋有機化学に属するものであったが、オストワルトの影響を受け、有機化合物の物理的性質に関心を抱くようになった。とくに有機化合物の吸収スペクトルの研究は、現代的評価に十分堪えうるものである。舌鋒(ぜっぽう)鋭く、バンベルガーE. Bamberger(1857―1932)など多くの化学者と論争を行ったことが知られている。
[井山弘幸]