バリオン

デジタル大辞泉 「バリオン」の意味・読み・例文・類語

バリオン(baryon)

素粒子うちクオーク3個からなりスピン半整数で強い相互作用をもつものの総称核子Λラムダ粒子Σシグマ粒子など。重粒子

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百科事典マイペディア 「バリオン」の意味・わかりやすい解説

バリオン

重粒子とも。素粒子分類一つ核子とそれより重いスピン半奇数の素粒子。Δ粒子,Σ粒子,Ξ粒子およびその反粒子などがある。素粒子の反応前後ではバリオン数(光子・レプトン中間子ではO,バリオンでは1,その反粒子では−1と定義される数。多粒子系ではバリオンの個数からその反粒子の個数をひいた数となる)は保存されることが確かめられているが,陽子崩壊などでは保存されない。→ハイペロンスーパーカミオカンデ
→関連項目ハドロン粒子線治療

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化学辞典 第2版 「バリオン」の解説

バリオン
バリオン
baryon

強い相互作用をする重い粒子で,重粒子ともよばれる.フェルミ統計に従う.質量1000 MeV 以上.ハドロンに属する.陽子中性子,Λ,Σ,Ξ,Δ,Ω粒子など.電荷0,+1,-1.3個のクォークからなる粒子で,陽子,中性子がもっとも普通のもの.陽子はuud,中性子はudduはアップクォーク,はダウンクォーク.バリオン中,唯一安定と思われるものは陽子のみ.ただし,絶対に安定とする理論的根拠はなく,もともとカミオカンデ(神岡鉱山)は陽子崩壊を検証するための実験装置であった.現在,崩壊は観測されていない.中性子の半減期は12.5 min.Λ,Σ,Ξ,Ω粒子の寿命は 10-10 s 程度.2003年,最初にわが国のSPring-8で,その後,アメリカのジェファーソン国立研究所でも,2個のクォークと2個の反クォークからなる粒子と,4個のクォークと1個の反クォークからなるバリオンがつくられたとの報告がある.これらはexotic baryonとよばれる.バリオンの語源ギリシア語の“重い”を意味する言葉βαρυζに由来する.

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改訂新版 世界大百科事典 「バリオン」の意味・わかりやすい解説

バリオン
baryon

重粒子ともいう。強い相互作用をもつハドロンのうち,バリオン数(素粒子の種類によって決まる量の一つ)1,半整数スピンのものをバリオンと呼ぶ。バリオンのうちもっとも以前から知られていたのは陽子,中性子であり,現在ではクォーク3体の結合系と考えられている。そのほかにもストレンジネスチャームボトムなどの新しいフレーバー自由度をもつバリオンもたくさん見つかっている。素粒子の反応の前後ではバリオンの数とバリオンの反粒子の数との差は一定ということがわかっており(バリオン保存則),このいちばんいい証拠はもっとも軽いバリオンである陽子が非常に安定に存在することである。陽子がもし崩壊するとしても寿命は1031年をこえることが最近の実験でわかっている。
素粒子
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バリオン」の意味・わかりやすい解説

バリオン
baryon

ハドロンのうち,スピンが半奇数でフェルミ統計に従う素粒子。重粒子ともいう。バリオンはバリオン数 1をもち,3個のクォークからなる複合粒子で,核子やストレンジクォーク(s)を含むハイペロン,チャームクォーク(c)を含むチャームバリオン,ボトムクォーク(b)を含むボトムバリオンなど多数発見されている。さらにΔ粒子や N粒子など多数の共鳴粒子がある。陽子以外のバリオンは弱い相互作用で,共鳴粒子は強い相互作用で軽いバリオンに崩壊し最終的には陽子になる。種々の大統一理論では陽子の安定性は否定されているが,今日までの実験では陽子の崩壊は発見されていない。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「バリオン」の意味・わかりやすい解説

バリオン
ばりおん

重粒子

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