パグウォッシュ会議(読み)パグウォッシュカイギ

デジタル大辞泉 「パグウォッシュ会議」の意味・読み・例文・類語

パグウォッシュ‐かいぎ〔‐クワイギ〕【パグウォッシュ会議】

核戦争による人類危機にあたって、各国科学者が軍縮・平和問題討議する国際会議。1955年のラッセルアインシュタイン宣言に基づき、第1回が1957年、カナダパグウォッシュ(Pugwash)で開催された。1995年ノーベル平和賞受賞。正式名称は「科学国際問題に関する会議」。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「パグウォッシュ会議」の意味・読み・例文・類語

パグウォッシュ‐かいぎ‥クヮイギ【パグウォッシュ会議】

  1. ( パグウォッシュはPugwash ) 「科学と国際問題に関する会議」の通称。世界の科学者が科学者の立場から、核軍縮問題など戦争と平和の問題を討議する会議。「ラッセルアインシュタイン声明」を受け、一九五七年第一回会議がカナダのパグウォッシュで開かれた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「パグウォッシュ会議」の意味・わかりやすい解説

パグウォッシュ会議 (パグウォッシュかいぎ)

1955年7月に出された〈ラッセル=アインシュタイン宣言〉の呼びかけを具体化するものとして,第1回の会議がカナダ,ノバ・スコシア州のパグウォッシュで開かれた。以来,年1~2回の割合で世界各地で開かれてきているが,最初の開催地にちなんでパグウォッシュ会議と呼ばれている。正式には,〈科学と世界問題に関する会議Conference on Science and World Affairs〉という。

 〈宣言〉は冷戦が極点に達しているときに水素爆弾が出現し,核戦争の危機が間近に迫っていることを憂慮した,B.ラッセル,A.アインシュタイン,湯川秀樹ら11名の科学者が,〈人類が直面する悲劇的な情勢〉を克服するため,国家やイデオロギーを超えて〈ヒトという種の一員として〉集まり,〈世界の諸政府に,彼らの目的が世界戦争によっては達成されないことを自覚し,このことを公然とみとめるよう勧告する〉決議を出すよう訴えたものである。第1回パグウォッシュ会議は,ラッセル,湯川ら5名の招請で開かれ,朝永振一郎を含む22名の科学者が東西から集まり,声明を発表した。〈会議〉の組織運営は,非政府組織であるパグウォッシュ評議会が行っている。これに呼応して1962年湯川,朝永,坂田昌一が中心となり〈科学者京都会議〉がつくられた。なお,日本では75年8月,京都で第25回パグウォッシュ・シンポジウム〈完全核軍縮への新しい構想〉が開かれた。95年,創設メンバーのイギリスの物理学者J.ロートブラットとともに,組織としてノーベル平和賞を受賞。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「パグウォッシュ会議」の意味・わかりやすい解説

パグウォッシュ会議【パグウォッシュかいぎ】

正称は〈科学と世界問題に関する会議〉。核兵器全面禁止のため,戦争の絶滅と世界の相互信頼を達成することを目的とする科学者の国際会議。1955年B.ラッセル,アインシュタインらの呼びかけが契機となり,1957年カナダのパグウォッシュで第1回大会を開催。以後随時各地で開かれているものもこの名で呼ばれる。
→関連項目核戦争防止国際医師会議核抑止論坂田昌一水素爆弾豊田利幸平和研究湯川秀樹ラッセルロートブラット

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「パグウォッシュ会議」の解説

パグウォッシュ会議
パグウォッシュかいぎ
Pugwash Symposium

ビキニ水爆実験の翌1955年,核時代の戦争と平和に対する科学者の責任を訴えたラッセル−アインシュタイン宣言にもとづいて成立した国際科学者会議
正式には「科学と世界問題に関する会議」といい,第1回が1957年7月カナダのパグウォッシュで開かれたので,この会議の名称となった。核戦争反対からヴェトナム戦争,公害・資源問題の討議まで広範な活動を続けている。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

山川 世界史小辞典 改訂新版 「パグウォッシュ会議」の解説

パグウォッシュ会議(パグウォッシュかいぎ)
Pugwash

科学と世界問題を議題とする科学者の国際会議。核軍拡に危機意識を抱いたイギリスの哲学者バートランド・ラッセルの呼びかけに応じて,日本を含む10カ国の科学者たちが1957年7月にカナダのパグウォッシュで開催したのが始まり。他の場所で開催された後続の諸会議をも含めて,パグウォッシュ会議と呼ばれる。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

旺文社日本史事典 三訂版 「パグウォッシュ会議」の解説

パグウォッシュ会議
パグウォッシュかいぎ

カナダのパグウォッシュで開催された世界の科学者たちによる軍縮と国際協力などに関する会議
1955年7月7日のラッセル‐アインシュタイン宣言に基づき,第1回会議がパグウォッシュで開かれ,以後,不定期に世界各地で開催されている。

出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報

世界大百科事典(旧版)内のパグウォッシュ会議の言及

【生物兵器】より

…生物兵器には,(1)ペスト菌,コレラ菌,天然痘ウイルスなどの急性致死兵器,(2)感染性が高く一時的に活動力をうばうQ熱クラミディアなどの非致死的〈人道的〉兵器,(3)いもち病菌,あかさび病菌などの植物病原菌,口蹄疫などの家畜伝染病病原体などがあり,戦略・戦術に応じた微生物を生物兵器として選択できる。1959年のパグウォッシュ会議では,生物兵器として使用される微生物がそなえる性質として,(1)強い毒力と感染性をもつ,(2)貯蔵や散布が可能,(3)予防が困難,(4)病気の診断が困難,(5)薬剤に耐性をもつ,の5点をあげている。 生物兵器を使用するためには,生きた微生物を目標に到達させねばならない。…

【ラッセル】より

…男女両性の平等と自由恋愛を主張しただけではなく身をもって実践した。第1次大戦に反対してケンブリッジ大学から追放されただけではなく,投獄の憂目にもあったが,ビキニの水爆実験(1954)以来核兵器廃絶運動に身を挺し,アインシュタインとともにパグウォッシュ会議を主催し(1957年以降),イギリスにおいて〈百人委員会〉を組織したりした(1960)。またアメリカのベトナム戦争に反対してサルトルらと〈ベトナム戦犯国際法廷〉を開いてこれを糾弾した(1967)。…

※「パグウォッシュ会議」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

ゲリラ豪雨

突発的に発生し、局地的に限られた地域に降る激しい豪雨のこと。長くても1時間程度しか続かず、豪雨の降る範囲は広くても10キロメートル四方くらいと狭い局地的大雨。このため、前線や低気圧、台風などに伴う集中...

ゲリラ豪雨の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android