ヒドロキノン(読み)ひどろきのん(英語表記)hydroquinone

翻訳|hydroquinone

精選版 日本国語大辞典 「ヒドロキノン」の意味・読み・例文・類語

ヒドロキノン

〘名〙 (Hydrochinon) =ハイドロキノン

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デジタル大辞泉 「ヒドロキノン」の意味・読み・例文・類語

ヒドロキノン(hydroquinone)

キノン亜硫酸還元して得られる無色結晶。還元性が強く、写真現像剤や分析試薬などに用いられる。化学式C6H4OH2 ハイドロキノン。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒドロキノン」の意味・わかりやすい解説

ヒドロキノン
ひどろきのん
hydroquinone

二価フェノールの一つ。ハイドロキノン、キノールともよばれる。ヒドロキノンの名は、キノンに水素(2原子)がついた組成をもつことを意味している。カテコールレゾルシンはヒドロキシ基-OHの位置が異なる異性体である。分子式C6H6O2、分子量110.1。

 以前はアニリンを酸化してp(パラ)-ベンゾキノンにしたのちに、亜硫酸により還元して製造していたが、現在ではベンゼンプロピレンからジイソプロピルベンゼン法により製造している。この方法では、ヒドロキノンとレゾルシン(m(メタ)-ジヒドロキシベンゼン)の両方ができる()。無色の針状結晶。熱水エタノールエチルアルコール)、エーテルなどにはよく溶けるが、冷水には100ミリリットルに対して5.8グラムしか溶けない。還元性をもち、とくにアルカリ性水溶液は還元性が強い。写真現像剤、酸化防止剤としての用途をもつ。医薬部外品であり、クリーム・軟膏(なんこう)として使われているが、発癌(はつがん)性が疑われていて、2%以上の高濃度の配合は制限されている。

[廣田 穰 2015年7月21日]


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改訂新版 世界大百科事典 「ヒドロキノン」の意味・わかりやすい解説

ヒドロキノン
hydroquinone


ハイドロキノンともいう。p-ジヒドロキシベンゼンにあたる。白色結晶,融点170~171℃,沸点285~287℃。解離定数1.22×10⁻10常温)および9.18×10⁻13(30℃)。水,エチルアルコール,エーテルによく溶けるが,冷ベンゼンには溶けにくい。その水溶液は空気により酸化されて茶色になるが,その変化はアルカリ性ではとくに速い。還元性が高く,アルカリ性銀塩溶液やフェーリング溶液を還元する。その還元性を利用し写真の現像剤に用いられる。染料,医薬などの合成中間体,酸化防止剤,重合禁止剤としても用いられる。リン酸,ヒ酸,ケイ酸とモリブデン酸とが反応して生ずるリンモリブデン酸アンモニウムあるいはケイモリブデン酸アンモニウムなどを還元してモリブデン青molybdenum blueを生ずるので,リン,ヒ素,ケイ素などの元素の検出に用いられる。アニリンを二クロム酸ナトリウムと硫酸で酸化して得られるp-ベンゾキノンを亜硫酸で還元して合成。
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化学辞典 第2版 「ヒドロキノン」の解説

ヒドロキノン
ヒドロキノン
hydroquinone

1,4-benzenediol.C6H6O2(110.11).C6H4(OH)2.キノールともいう.ベンゾキノンを還元すると得られる.結晶.融点169 ℃,沸点287 ℃(97 kPa).1.332.285 ℃ で昇華する.λmax 225,293 nm(log ε 3.71,3.43).pKa1 9.91,pKa2 12.04(30 ℃,水).水,エタノール,エーテルなどに易溶.水溶液は還元性が強く,写真の現像薬として用いられる.また,同じ理由で,酸化防止剤,重合防止剤ともなる.種々の合成中間体のほか,分析試薬として,リン,ヒ素,ケイ酸の定量にも用いられる.[CAS 123-31-9]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒドロキノン」の意味・わかりやすい解説

ヒドロキノン
hydroquinone

p -ジヒドロキシベンゼンのこと。化学式 C6H4(OH)2 。アニリンを酸化して得られるキノンを還元して製造する。酸化すると p -ベンゾキノンが得られる。無色の結晶で融点 170~171℃。水に可溶,アルコール,エーテルに易溶,空気中では酸化されて褐色に着色する。アルカリ性ではことに強い還元作用を示す。写真の現像剤,酸化防止剤,染料,有機合成の中間体として用いられるほか,リン酸イオンの検出定量にも用いられる。

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百科事典マイペディア 「ヒドロキノン」の意味・わかりやすい解説

ヒドロキノン

ハイドロキノンとも。p‐ジヒドロキシベンゼンC6H4(OH)2にあたる。無色または白色の結晶。融点170.3℃,沸点285℃(730mmHg)。水,エタノールに可溶。強還元剤。写真現像薬,染料,医薬などの中間原料,酸化防止剤,重合防止剤として用いられる。ベンゾキノンを亜硫酸で還元してつくる。(図)

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栄養・生化学辞典 「ヒドロキノン」の解説

ヒドロキノン

 還元剤として使われる.医薬品としても使われる.

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