翻訳|hydroquinone
二価フェノールの一つ。ハイドロキノン、キノールともよばれる。ヒドロキノンの名は、キノンに水素(2原子)がついた組成をもつことを意味している。カテコールやレゾルシンはヒドロキシ基-OHの位置が異なる異性体である。分子式C6H6O2、分子量110.1。
以前はアニリンを酸化してp(パラ)-ベンゾキノンにしたのちに、亜硫酸により還元して製造していたが、現在ではベンゼンとプロピレンからジイソプロピルベンゼン法により製造している。この方法では、ヒドロキノンとレゾルシン(m(メタ)-ジヒドロキシベンゼン)の両方ができる( )。無色の針状結晶。熱水、エタノール(エチルアルコール)、エーテルなどにはよく溶けるが、冷水には100ミリリットルに対して5.8グラムしか溶けない。還元性をもち、とくにアルカリ性水溶液は還元性が強い。写真現像剤、酸化防止剤としての用途をもつ。医薬部外品であり、クリーム・軟膏(なんこう)として使われているが、発癌(はつがん)性が疑われていて、2%以上の高濃度の配合は制限されている。
[廣田 穰 2015年7月21日]
ハイドロキノンともいう。p-ジヒドロキシベンゼンにあたる。白色結晶,融点170~171℃,沸点285~287℃。解離定数1.22×10⁻10(常温)および9.18×10⁻13(30℃)。水,エチルアルコール,エーテルによく溶けるが,冷ベンゼンには溶けにくい。その水溶液は空気により酸化されて茶色になるが,その変化はアルカリ性ではとくに速い。還元性が高く,アルカリ性銀塩溶液やフェーリング溶液を還元する。その還元性を利用し写真の現像剤に用いられる。染料,医薬などの合成中間体,酸化防止剤,重合禁止剤としても用いられる。リン酸,ヒ酸,ケイ酸とモリブデン酸とが反応して生ずるリンモリブデン酸アンモニウムあるいはケイモリブデン酸アンモニウムなどを還元してモリブデン青molybdenum blueを生ずるので,リン,ヒ素,ケイ素などの元素の検出に用いられる。アニリンを二クロム酸ナトリウムと硫酸で酸化して得られるp-ベンゾキノンを亜硫酸で還元して合成。
執筆者:岡崎 廉治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
1,4-benzenediol.C6H6O2(110.11).C6H4(OH)2.キノールともいう.ベンゾキノンを還元すると得られる.結晶.融点169 ℃,沸点287 ℃(97 kPa).1.332.285 ℃ で昇華する.λmax 225,293 nm(log ε 3.71,3.43).pKa1 9.91,pKa2 12.04(30 ℃,水).水,エタノール,エーテルなどに易溶.水溶液は還元性が強く,写真の現像薬として用いられる.また,同じ理由で,酸化防止剤,重合防止剤ともなる.種々の合成中間体のほか,分析試薬として,リン,ヒ素,ケイ酸の定量にも用いられる.[CAS 123-31-9]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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