出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
古代フェニキアの港市。レバノン共和国の首都ベイルートから北方39キロメートルの海岸地帯にその遺跡がある。ビブロスはギリシア名で、フェニキア名はゲバルあるいはグブラであり、今日この地はジュバイルとよばれる村落となっている。ビブロスは紀元前四千年紀にさかのぼる東地中海最古の都市の一つで、1921年以降のフランスとレバノンの発掘調査により、女神バアラト・ゲバル、男神レシェフの神殿や城壁、墓地などが発見され、また石棺や多数の副葬品が出土した。なかでも有名なのは1923年にフランスのH・モンテによってこの地で発掘されたアヒラム王石棺で、石蓋(せきがい)の周りに刻まれたフェニキア文字は前1300~前1000年(諸説がある)の最古期アルファベットとみなされている。今日のビブロス遺跡には、フェニキアのほかにローマ時代の列柱や劇場の遺構、さらに下って中世の十字軍時代の城塞(じょうさい)、マムルーク朝時代の貯水池の跡などもみいだされている。なお、この遺跡は1984年に世界遺産の文化遺産として登録されている(世界文化遺産)。
[矢島文夫]
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