ファサード
ふぁさーど
façade フランス語
fassade 英語
建築用語。もともとフランス語であるが、各国語で広く用いられている。建物の正面の立面をいうが、装飾的な面、堂々たる面などデザインとして重要な面であれば背面や側面にも用いられる。古典ゴシックのランス大聖堂のようにファサードの造形が内部空間を率直に表現する場合もあれば、盛期ルネサンスのアルベルティによるマントバのサンタンドレア教会堂のようにファサードが内部空間との有機的なつながりを欠き、ファサードのためのファサードとして造形される場合もある。個体としての建築設計と街路の造形との問題にも関係して、ファサードの扱いは建築の本質にかかわる重大な課題である。
[前川道郎]
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ファサード
façade
街路や広場などに面する建物の正面部分のこと。建物のいわば顔としての役割をもつ。ヨーロッパの石造りや煉瓦造りの建築では景観を整えたり,建物の象徴性を高めたりするために,ファサードのみが造り加えられることも少くなかった。また広場の整備などのため,ファサードのデザインのみを定め,その背後はデザインや開発の自由を認める場合もあった。
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ファサード【Façade】[作品名]
シットウェルの詩。1922年刊。シットウェル家に寄宿していた作曲家、ウィリアム=ウォルトンが設定したリズムに合わせて書かれた実験的な作品。翌年、ウォルトン作の曲とともに朗読され、話題となった。
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ファサード
〘名〙 (façade) 建築物の前面。一般に、正面玄関側の立面をさす。
※由利旗江(1929‐30)〈岸田国士〉船を見てから「僧院風の洋館で、古びた赤煉瓦のファサアドには」
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ファサード
西欧建築の正面,前面をいう。ゴシック建築(ゴシック美術)のように二つ以上もつものもある。道路や広場に面しているのが普通で,建物のいわば〈顔〉として重要な意味をもつ。
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ファサード【façade〈フランス〉】
建物の正面、または主な入り口のある面。西洋建築についていう。
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ファサード【façade[フランス]】
建物の正面をなす外観。日本の木造建築は正面も側面もそれほど極端に材料や仕上げを違えることはないが,西欧建築では正面の外観だけを一段と装飾豊かに飾ることが多い。西欧のファサードは建物の格式と性格を表現するものであるが,同時にそこには共同体である都市の景観への参加意識も現れている。【鈴木 博之】
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世界大百科事典内のファサードの言及
【バロック美術】より
… 建築におけるバロック的な傾向がいち早く現れたのは,言うまでもなくイタリアであり,この新しい傾向にはじめて明確な表現を与えたのは,C.マデルノである。彼がデザインしたローマのサンタ・スザンナ聖堂のファサード(1595‐1603)は,彫の深い構成に量感があふれ,中央部を強調したデザインに,16世紀末のマニエリスム建築に見られなかった統一感が達成されている。ブラマンテ以来,集中式会堂として造り続けられてきたサン・ピエトロ大聖堂も,彼が主任建築家のときに前面に大身廊を付加し,方向性の強いバシリカ式の会堂に造り変えられている。…
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