(読み)ひょう

デジタル大辞泉の解説

おも‐て【表】

《「面(おもて)」と同語源》
[名]
物の二つの面のうち、主だったほう。表面。また、外側。「答案はを上にして集める」「コインを投げてか裏かで占う」「鏡の」⇔
他のものより前に位置すること。前面。「長男をに立てる」
畳・草履・下駄などの表面につけるござ。
衣服の表地。⇔
うわべ。外見。「を飾る」⇔
表向きのこと。おおやけ。公式。正式。「人生のと裏に通じている」「通り」「参道」⇔
正面。家の入り口。「から入る」⇔
家の外。戸外。また、家の前の通り。「で遊ぶ」
野球で、各回の、先攻チームが攻撃する番。「七回の攻撃」⇔
10表千家」の略。
11 連歌俳諧で、二つに折った懐紙の第一面。単に「おもて」というときは、初折(しょおり)の第一面。
12 江戸幕府または大名家で、公的な事務や儀式をする所。商家では店をいう。
13 表座敷
「まづ―へと通らせられい」〈虎明狂・
14 人前にそれをはっきり示すこと。また、そのもの。証拠。
「安心の―とし」〈浄・念仏往生記〉
15 文書などの記載面。文面。
「御制札の―にまかせ、さうさうに是へ参りて」〈虎明狂・牛馬
[接尾]方角・場所などを示す名詞に付く。
その方角に向かっていること、その側に面していることを表す。「南
その方向の土地・地方を表す。「江戸」「国
[下接語]裏表江戸表木表国表初(しょ)表外表畳表中(なか)表名残の表二の表琉球(りゅうきゅう)表

ひょう〔ヘウ〕【表】

複雑な事柄を、見やすいように整理分類して、一目でわかるように書き表したもの。「人口動態をにする」
臣下から君主に差し出す文書。「出師(すいし)の

ひょう【表】[漢字項目]

[音]ヒョウ(ヘウ)(呉)(漢) [訓]おもて あらわす あらわれる
学習漢字]3年
〈ヒョウ〉
物のあらわれ出ている面。外側。おもて。「表紙表層表面表裏意表地表
おもてに出して明らかにする。あらわす。「表敬表現表示表情表明表意文字公表代表発表
人々に示すもの。手本。しるし。「儀表師表墓表
記号や数字などを使って事柄を見やすいように配列したもの。「図表年表付表一覧表時刻表
主君や役所に差し出す文書。「賀表辞表上表
(「裱(ひょう)」の代用字)おもてにはる。「表具表装
〈おもて〉「表門裏表国表畳表
[名のり]あき・あきら・うわ・お・おも・きぬ・こずえ・すず・と・よし

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世界大百科事典 第2版の解説

ひょう【表】

漢文の文体の一種で,臣下君主に奉る書をいう。中国では,秦まではこの種の書信をすべて〈上書〉と呼んだが,漢になって,内容により章,奏,表,議などの区別をするようになった。《文心雕竜(ぶんしんちようりよう)》によれば,表はことに君主への〈請を陳(の)べる〉ものとされる。しかし,それらの間に本質的な機能のちがいがあるわけではない。〈表〉は〈明〉に通じ,思うところを明らかに表すことが重視される。諸葛亮(しよかつりよう)(孔明)の《出師表(すいしのひよう)》はことによく知られる。

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大辞林 第三版の解説

おもて【表】

二つの面のうち、前や上になる方。また、外側。表面。 ⇔ 「封筒の-」
目立つ方の側。前面・正面になる方。 ⇔ 「 -から入る」 「 -玄関」 「 -参道」
家のそと。屋外。戸外。 ⇔ うち 「 -で遊ぶ」
見せかけの部分。うわべ。外見。 ⇔ 「 -をかざる」 「 -をつくろう」 「 -はきれいごとで済ます」 「裏-のない人」
おおっぴらなこと。おおやけ。 「 -沙汰ざた
正式なもの。本来のもの。 ⇔ 「 -芸」
野球で、先攻チームの攻撃するイニング。 ⇔ 「七回の-」
(畳や下駄などの)表面をおおうもの。 「畳-」 「 -付き」
書類などに書いてある事柄。 「書類の-ではこうなっている」
江戸時代、将軍・大名の私的な生活に対して、公的な政務。また、政務を執る所。
連歌・俳諧で、一枚目の懐紙の表。初表しよおもて
「表千家」の略。
「表仕」の略。
名詞の下に付いて、複合語をつくる。
その方向に向かっていること、その側に面していることを表す。 「南-の座敷」
その方向の土地・地方を表す。 「江戸-」 「国-」
[句項目] 表に立てる

ひょう【表】

文章ではわかりにくい事柄などを、分類整理して、見やすくまとめたもの。リスト。 「時間-」 「 -にまとめる」
臣下から天子にたてまつる文書。上表文。 「出師すいしの-」

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


ひょう

天皇に対して祝賀の意を表すため、また官職を辞するために奉る文書。祝賀の表には、朔旦冬至(さくたんとうじ)の表などがある。陰暦11月1日が冬至にあたると、めでたいこととして祝宴が開かれたが、このとき群臣が祝意を表すために奉ったものである。表は儀礼的意味をもつ文書であるから、上質の高檀紙(たかだんし)を用い、裏紙や懸紙(かけがみ)などの五枚の紙からなっている。なお辞表は、平安中期以降、摂政(せっしょう)、関白(かんぱく)、大臣などに任ぜられたとき、謙遜(けんそん)して辞表を呈出する慣習に基づいて奉るものである。[百瀬今朝雄]

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精選版 日本国語大辞典の解説

おも‐て【表】

[1] 〘名〙 (「おもて(面)」と同語源) 物事の、人の目にふれる部分。また、二面ある物事のうちで、人目につく面。⇔うら
[一] おおわれていない、物事の外側や外面の部分。
① 物の、最も外側の面。表面。外面。
※源氏(1001‐14頃)若紫「海のおもてを見渡したるほどなむ、あやしくこと所に似ず」
② 外部からよく見える部分。
(イ) 外に出ている部分。表面。
※舞姫(1890)〈森鴎外〉「奥深く潜みたりしまことの我は、やうやう表にあらはれて」
(ロ) 外に見せるようにした部分。うわべ。外見。見え。
※日葡辞書(1603‐04)「Vomote(ヲモテ)ウラノ アル ヒト」
※行人(1912‐13)〈夏目漱石〉帰ってから「少し滑稽を感じたが、表(オモテ)ではただ『成程』と肯(うけ)がった」
(ハ) 文書、立札などで記載されている事柄。また、その文書。占いで現われた卦(け)をもいう。
※古今著聞集(1254)一「表を書て奉りけるとなむ」
※滑稽本・古朽木(1780)四「百廿五両の金子、さっぱりすませといふ占の面(オモテ)でござる」
③ 本来のこととして、はっきりと人前に示すに足ること。第一に重んずべきことや公式、正式のこと。
(イ) 内輪のことではなく本来のこととして表だっていること。表向きのこと。本来のつとめ。
※蓮如御文章(1461‐98)二「王法をもておもてとし、内心には〈略〉世間の仁義をもて本(ほん)とすべし」
※浄瑠璃・妹背山婦女庭訓(1771)三「涙一滴こぼさぬは武士の表」
(ロ) 第一として重んずべきこと。正面に掲げること。主眼。
※玉塵抄(1563)七「晉の代の人は風流をもてにして」
(ハ) はっきりと示しあらわすこと。証拠。しるし。
※浄瑠璃・念仏往生記(1687頃)名所尽し「悪を制し妄をやぶるをもって安心のおもてとし」
(ニ) 人前に見せるに足る芸。得意とする技芸。表芸。
※狂言記・角水(1660)「それがしが芸を表(オモテ)にたて札の面につき、むこ入をいたそうとぞんずる」
④ この世の中。また、そこに住む人々。世間。
※いやな感じ(1960‐63)〈高見順〉四「猪沢市太郎を殺したのはオモテ(世間)じゃ、あんただとなってるが」
[二] 一対をなすものの主だった方。
① 通常目に見える面。正面。表面。
※土左(935頃)承平五年二月五日「うちつけに海は鏡のおもてのごとなりぬれば」
② 着物や帯を身につけたとき、外側になる布。〔名語記(1275)〕
※浮世草子・好色一代男(1682)七「悲しや、様々口がため、ぐんない島(じま)のおもてを約束するこそきのどくなれ」
③ (面) 戦のときに、敵に最も近い前線に位置すること。前面。正面。先(さき)
※金刀比羅本保元(1220頃か)中「面にすすみたる伊藤六がまんなかに押当て放ちたり」
④ 城、屋敷などで人の目にたつ前の方。
(イ) 家などの正面。また、店先。
※虎寛本狂言・墨塗(室町末‐近世初)「聞馴れた声で表に物申と有る」
(ロ) 家の前や外の方。戸外。屋外。
※評判記・難波の㒵は伊勢の白粉(1683頃)二「そと面を見れば俄に梢の花ちり敷」
※五重塔(1891‐92)〈幸田露伴〉二「戸外(オモテ)では無心の児童(こども)達が独楽戦(こまあて)の遊びに」
(ハ) 家のなかで入口に近い部屋。また、客を迎える部屋。表座敷。
※虎明本狂言・墨塗(室町末‐近世初)「先おもてへとおらせられひといふてくれさしめ」
⑤ 江戸城御殿のうち、大奥と将軍の私的居住区を除いた、役人、大名の詰所や儀式にあてられる部屋や場所。大名などの邸にもいう。
※滑稽本・戯場粋言幕の外(1806)上「トントお表へ上る艷治に似ておるよ」
⑥ 畳や下駄などの表面をおおうもの。ござ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
※雁(1911‐13)〈森鴎外〉五「畳の表(オモテ)も換へなくてはならない」
(イ) 船首部の総称。舳(へ)
※平家(13C前)一一「船のおもてに立いで、大音声をあげて申けるは」
(ロ) 「おもてし(表仕)」の略。
※時規物語(1850)一「表(下越後岩船郡早田村)金録(同四拾九歳)右片口屋八左衛門と代り乗組」
⑧ (劇場で楽屋を裏(うら)というのに対して) 見物席。また、見物席に関する会計などをする仕切場。
※役者論語(1776)佐渡島日記「楽屋、おもてとも彼是申合けれども」
⑨ 連俳で、二つに折った懐紙(かいし)の表側に当たる面。単に「おもて」というときは、第一紙(初折(しょおり))の表側をさし、百韻の場合は表八句、歌仙の場合は表六句をいう。また「面(おもて)」と書いて、懐紙の表や裏の見通しの句(百韻なら一四句、歌仙なら一二句)をいう場合もある。
※俳諧・新増犬筑波集(1643)油糟「名所国神祇尺教恋無常 述懐懐旧おもてにぞせぬ」
⑩ 男色に対して女色をいう近世の語。
※浮世草子・好色一代女(1686)三「表の嫌ひはなきものと、しどけなく帯ときかけて」
⑪ 「おもてやぐら(表櫓)(二)」の略。
※洒落本・辰巳之園(1770)「夫からおもての春岡で、こまが有から廻したら」
⑫ 野球で、各回(イニング)の先攻が攻撃する間のこと。「七回の表」
⑬ 柔道や相撲で、正式の技。
※咄本・無事志有意(1798)柔術「サ是が表(オモテ)、又裏をとればすぐにこういたす」
[2] 〘語素〙 名詞に付いて複合語を作る。
① ある方向に向かっていること。ある側に面していること。
※源氏(1001‐14頃)桐壺「南おもてにおろして」
② ある方向の土地、地方。
※天草本平家(1592)二「ミヤ ワ ヒエノヤマ ト ナラ vomote(ヲモテ) コソ サリトモ ト ヲモワセラレタレ」

ひょう ヘウ【表】

〘名〙
① 臣下から天皇にたてまつる文書。祥瑞慶事を祝うものを賀表(がひょう)といい、摂政・関白・大臣などの官職を拝辞するものを辞表という。
※宇津保(970‐999頃)菊の宴「右大将のおとど、春宮の大夫にものし給ふを辞し給ふへうつくらせ給ふとて」 〔釈名‐釈書契〕
② 外国使臣が天皇に上呈する文書。
※続日本紀‐大宝三年(703)閏四月辛酉「新羅国使薩飡金福護表云」
③ 事柄や数値の関係を簡潔に理解できるように列をそろえて並べて書き表わしたもの。年表、一覧表、数表、図表など。
※軍制綱領(1875)〈陸軍省編〉一「其列坐左表の如し」 〔史記‐太史公自序〕
④ 「ひょうひゃく(表白)②」の略。

ひょう‐・す ヘウ‥【表】

[1] 〘他サ変〙 ⇒ひょうする(表)
[2] 〘他サ四〙 =ひょうする(表)

ひょう‐・する ヘウ‥【表】

〘他サ変〙 へう・す 〘他サ変〙 形やことばにあらわす。示す。「敬意を表す」
※高野本平家(13C前)五「抑高雄は、山うつたかくして鷲峯山の梢を表(ヘウ)し」

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世界大百科事典内のの言及

【江戸城】より

…本丸の主要な建物は天守閣(1657年以後なし)と本丸御殿である。本丸御殿はその用途により表,中奥,大奥に3区分されていた。表は謁見などの儀式を行う広間と,日常諸役人が詰めて執務する諸座敷からなり,幕府の中央政庁にあたる。…

【大奥】より

…江戸城内殿舎の奥向の称。江戸時代には,大名・旗本など大身の武家の邸宅では,当主を中心として家政処理や対外的応接などを処理する〈表〉と,当主の妻を中心に子女たち家族が生活する〈奥〉とが明確に区別されていた。将軍の居城たる江戸城の本丸・西丸・二丸などの殿舎でも表と奥の区分があり,江戸城の奥向を他の大名などと区別してとくに〈大奥〉と称した。…

【奥女中】より

…江戸時代に武家の奥向に仕えた女性の総称。江戸時代には将軍家,大名,旗本など,身分ある武士の邸宅では“表”と“奥”の区別が厳重にたてられ,当主以外の男子は奥には入れなかったから,御広敷とよばれる奥向管理事務の男子役人以外は,奥向の諸事はすべて女性で弁じた。その武家奥向に仕える女中が奥女中である。…

【住居】より

…農耕社会でも焼畑を経営する人々の住居は多少なりとも移動性を伴う。遊牧民ベドウィンのテントやモンゴルのゲルに代表されるような移動式住居は,われわれにもう一つの住居観を教えている。それは一ヵ所に定住しない世界であり,家船(えぶね)を住居とする漂海民にも通じていく。…

【史記】より

…その構成は,まず有史以来のおもな王朝の編年史を〈本紀(ほんぎ)〉12巻とし,政治史を中心とする歴史過程の大綱を示す。次に,その歴史過程の認識をより正確にするために,系図および年表を10巻の〈表〉に示す。この年表によって諸侯の国々のおもな事件を王朝の編年史に結びつけ,また事件がめまぐるしく起こった時代については,月単位の月表を作った。…

【奏議】より

…中国における文章の一形式で,臣下が君主に上(たてまつ)る意見書のこと。古くは上書といい,漢代では章,奏,表,議などといった。魏・晋時代以後は啓といい,唐・宋時代では表,状,剳(さつ),書などともよばれた。…

※「表」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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