翻訳|Phoenicia
東地中海地域でフェニキア人が創案し使用した文字。22個の子音文字からなり、今日世界各地で用いられている各種アルファベット文字体系の母体をなしている。最古期のフェニキア文字は太古カナーン文字ともよばれ、その創案は紀元前17世紀ころにさかのぼると推定される。前11~前10世紀には初期の絵文字的性格が薄まり、実用的な文字として碑文などに広く使用されるようになった。ビブロス(レバノン)から出土したアヒラム王石棺の刻文(前1000年ころ)は古典フェニキア文字最古の遺物として知られている。フェニキア文字は地中海域各地に伝播(でんぱ)し、前8世紀ころにはギリシア文字、また少しのちにエトルリア文字を介してラテン文字の成立に寄与した。この文字は東地中海域では紀元後1世紀ころまで、北アフリカではカルタゴの新ポエニ文字として6世紀ころまで使用された。
[矢島文夫]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
アルファベットの祖型と思われる原カナーン文字から発展した,北セム系最初の線状文字アルファベット。22の子音字からなり,前11世紀頃に成立。フェニキア人の海上活動とともに地中海沿岸に伝播し,前9世紀ないし前8世紀にはこれを受容したギリシア人が母音字をつけ加え,のちに全西方文字の母体となったギリシア文字をつくった。一方,フェニキア文字の書体が変化してできたアラム文字は,アラム商人とともに広く東方に伝播し,現行の多くの東方諸文字の母体となった。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…アルファベットという名称は,ギリシア文字の最初の2文字の名を結合したものであるが,この文字体系はギリシア人の発明したものではない。古代ギリシア人自身この文字のことを〈フェニキアの文字〉と呼んでいたこと,〈フェニキア文字〉がギリシア文字――とくに初期のそれ――と非常によく似た字形,名称,配列をもつこと,各文字の名称が後者からは説明できないのに前者からは説明できること,などの事実から,ギリシア人が当時の海洋民族たるフェニキア人からこの文字体系を学んだものであることは,確定的である。
[歴史]
(1)北西セム文字 〈フェニキア文字〉は前2千年紀の中ごろから,フェニキア語だけでなく,同じく北西セム語族に属するヘブライ語,モアブ語,アラム語の表記にも用いられ,正確には北西セム文字と呼ばれるべきであろう。…
…したがって,ギリシア文字がセム系のフェニキアの文字を借りたものであるということはほぼ疑いがない。フェニキア文字(北西セム文字)は今日地球上に広く行われている文字の多くを派生させたものとして文字史上に大きな位置を占めるものであり,一方ギリシア文字は子音だけを表していたフェニキア文字を借り,そこに母音の表記を発達させた点に画期的な進歩がみとめられる。フェニキア文字は前13世紀にさかのぼる古資料が発見されているが,これを含むセム系の文字が系譜的にどこにつながるかということについてはいろいろむずかしい問題がある(簡単な線の組合せから成る字形の類似は偶然の類似もありうる)が,古代エジプトの象形文字にさかのぼるものであろうというのが通説となっている。…
※「フェニキア文字」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
小麦粉を練って作った生地を、幅3センチ程度に平たくのばし、切らずに長いままゆでた麺。形はきしめんに似る。中国陝西せんせい省の料理。多く、唐辛子などの香辛料が入ったたれと、熱した香味油をからめて食べる。...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新