生産設備や大型機械の輸出を中心とするが、さらには現地での据え付けから稼動までに必要な要素を一括した工場ごとの輸出をも含めてプラント輸出という。プラント輸出には、機械・設備一式を売る場合、設備の設計から施工・運転までを契約する場合(ターン・キー方式)、設備のみでなく土建工事や付帯設備もすべて契約する場合(フル・ターン・キー方式)などがある。また、機種としては、発電プラント(火力や水力の発電所の建設)、通信プラント、海水淡水化プラント、石油精製プラント、繊維プラント、肥料プラント、製鉄プラントなど種々ある。
このようなプラント輸出は、輸入国にとっては経済発展に貢献するものであり、一方、輸出国にとっては技術集約的で産業・貿易構造を高度化させる要素をもつなど、輸入国と輸出国双方にとって利益が大きいことから、アジア通貨危機(1997)後に大きく落ち込んだものの、2000年代に入り徐々にプラントの成約実績が上向き、2005年度には257億7000万ドルの高い実績を記録した。その後、サブプライムローン問題やリーマン・ショック等の世界的な金融危機を受け、成約実績も減少し、2009年度上期実績では62億ドル(前年度同期比26.4%減)となっている。
プラント輸出は、1件当りの金額が大きいため代金支払いは通常延払いであること、契約から引渡しまで長期間を要するので危険が大きいことなどから、各国は金融・保険面で公的な支援措置をとっている。日本でも、プラントの輸出者に対して国際協力銀行と市中銀行が協調融資を行い、また、危険をカバーするには貿易保険法による輸出保険制度などを設けている。
[田中喜助・前田拓生]
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…東洋エンジニアリングに代表される石油化学プラント,製鉄大手による鉄鋼プラント,重電大手による電力プラントは,高度成長期の活発な大型コンビナート建設の発展とともに成長してきた。同業界の転換点になったのが,73年の第1次石油危機および80年を境とするプラント輸出環境の悪化である。石油危機後の国内設備投資の停滞および逆に産油国の活発な重化学工業化の動きから,日本のプラント・エンジニアリング業界は,中東,東南アジアを中心に輸出振興を図った。…
※「プラント輸出」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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