スウェーデンの作家,詩人。南部の貴族領地に生まれたが,病弱のため青春時代を南ヨーロッパ,オリエントの諸国で過ごし,詩集《巡礼と遍歴の歳月》(1888),小説《エンデュミオン》(1889)で文壇に登場。異国的情緒豊かなその幻想美は,彼をロマン派運動の旗手たらしめた。小説の代表作として《ハンス・アリエーヌス》(1892)があり,抒情詩人としては《詩集》(1895)で一つの完成した境地に達した。その他,評論《スウェーデン人気質》(1897),カール12世を主題とした歴史小説《カロリーネナ》(1897-98),さらに《新詩集》を出した1916年にはノーベル文学賞を受賞した。そのおりにナショナリストという評を受けたが,それはいわば彼の貴族趣味とでもいうべき性格に向けられたものである。
執筆者:田中 三千夫
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スウェーデンの作家。南部の貴族領に生まれる。病弱のため青春時代を南欧、オリエントの諸国で過ごし1887年帰国。異国的情緒と幻想美の詩集『巡礼と遍歴の歳月』(1888)、小説『エンデュミオン』(1889)でロマン派の旗手として登場。美の探求の巡礼『ハンス・アリエーヌス』(1892)が小説の代表作。叙情詩人としては、『詩集』(1895)で完成した境地を示し、当時急速に工業化が進んだこの国で滅びゆく荘園(しょうえん)文化への哀惜の念を基調とする。評論『スウェーデン人気質(かたぎ)』(1897)、カール12世をテーマとした歴史小説『カロリーネナ』(1897~98)では自国民のもつ剛毅(ごうき)な性格を強調した。『新詩集』(1916)出版後、同年ノーベル文学賞受賞。ナショナリストの評があるが、それは彼の貴族趣味の反映というべきもので、国粋主義者の意ではない。
[田中三千夫]
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