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ベルクソン ベルクソン Henri Bergson

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デジタル大辞泉の解説

ベルクソン(Henri Bergson)

[1859~1941フランスの哲学者。近代の自然科学的・機械的思考方法を克服、内的認識・哲学的直観の優位を説き、生命の流動性を重視する生の哲学を主張。1928年ノーベル文学賞受賞。著「創造的進化」「道徳と宗教の二源泉」。

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大辞林 第三版の解説

ベルクソン【Henri Bergson】

1859~1941) フランスの哲学者。分析的知性を批判して、内的な純粋持続としての体験的な時間を考え、具体的生は不断の創造的な進化の活動であるとし、概念的把握よりも直観の優位を主張、生の哲学を唱えた。著「意識の直接与件に関する試論(時間と自由)」「物質と記憶」「創造的進化」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ベルクソン
べるくそん
Henri Bergson
(1859―1941)

フランスの哲学者。いわゆるフランス唯心論の大成者であると同時に、カント新カント派観念論に対立する実在論をもって20世紀思想を準備した独創的思想家の一人。[中田光雄]

生涯

パリに生まれ、幼少より秀才の誉れ高く、コンドルセ高等中学校(リセ)在学中、修辞学名誉賞、全仏数学一等賞を獲得。高等師範学校(エコール・ノルマル・シュペリュール)に進み、のちに暗殺された社会主義政治家ジョレスと首席を争う。卒業と同時に教授資格試験に合格。地方校教授を歴任し、パリに戻った1888年、『意識の直接与件に関する試論』(1889刊)、副論文「アリストテレスの場所論」で学位を取得。高等師範学校講師を経て、1900年コレージュ・ド・フランス教授に就任。ここで一世を風靡(ふうび)する講義を行い、同時代の芸術・科学の諸分野に多大の影響を与える。1922年同名誉教授。
 この間、教職以外の公的活動も多く、道徳・政治科学アカデミー会員、同議長、アカデミー・フランセーズ会員、国際連盟国際知的協力委員、同議長などを兼任。特派使節としてスペイン、アメリカにも赴き、大統領ウィルソンを通じて第一次世界大戦へのアメリカ参戦に尽力。1927年ノーベル文学賞受賞、1930年レジオン・ドヌール最高勲章受勲。しかし数々の社会的名誉に煩わされぬ聖者的人格を全うし、占領下のパリに、ナチスの申し出る特典を拒みつつ、耐乏生活のなかでつつましく生涯を終えた。「思惟(しい)することの高貴さに専一に仕えた人」(バレリー)とも評されている。[中田光雄]

思想

その哲学的関心は、たとえばドイツ哲学にみられる「諸概念の遊戯」「内容空虚な言葉の集合」に対する疑念から出発し、実在の分節にのっとって思惟するとみえたスペンサー進化論が、これまたその時間観念において実在の人為的歪曲(わいきょく)を免れえず、哲学とは、このような構成的意識とその所産になる既成の言語・概念によって実在を「解釈」することではなく、それら「記号」のかなたに現前する実在そのものを「認識」し、それと「合体」することにあるとして、独自の方向を得た。カントのいう「認識の相対性」とは、時間観念の狭隘(きょうあい)さに由来する謬見(びゅうけん)にすぎない。われわれが時計や暦によって理解している時間、数に還元され量的・等質的な長さ・大きさに帰着する時間は、実生活の便宜からつくられた虚構であり、真の時間とは、切断することのできない持続、刻一刻に過去と現在と未来が相互浸透しつつ不可逆的・不可通約的な質的変化を展開する一つの生動体、すなわち固有の実体的内容をもった実在の形式そのものである。このような時間をわれわれは内的体験において全人格的に把握するが、このときに味わう自由・充足感はすでに「絶対者との接触」であり、この意味において実在、「少なくともその一部」は認識可能なのである。しかも私の内界と実在が「部分と全体の関係」にすぎぬところから、私は、単なる内観を超えて、一方では宇宙の全存在者との共感に至り、他方では万物をして実在たらしめている形而上(けいじじょう)学的実在の直観に向かう。こうして現前する実在界は、デカルトやカントの前提する等質平面的な無気力物質の広がりとはほど遠く、無限のニュアンスに満ちて刻一刻リズミカルに変転する持続の遍在としての「生成の大洋」であり、そこに生きる諸存在者は、全実在の始原に躍動する「創造的進化力」に対して物質がなした多様な限定の所産として進化あるいは退化の「諸方向」を徴し、高みと深みに向かって実在界を「階層」づける。人間のなす諸学とは、このような実在の諸層を各層にふさわしい方法と記号・イマージュを創案しつつ認識する試みであり、知性と科学は物質界の解明に絶対の有効性をもち、直観と哲学は精神界の探究に専念して、価値の優劣なきままに相互に補足しあう。が、単なる持続を超えて純粋創造そのものである形而上学的実在は、動物の本能はむろん、人間の知性、「普通の人」の直観によっても把握できず、「特権的個人」の「超知性的直観」を要し、しかもこの認識は、プラトン的な「死せる永遠」の観照にとどまらず、過去・現在・未来の完璧(かんぺき)な相互浸透による至高の「時間的総合」としての「生ける永遠」との合体であり、その比類なき力動性によって地上界の諸方向を神に向かって「方向づけ」る。実在認識の不可能性ゆえに倫理を定立したカントに対して、実在認識そのものが価値論的行為を直接的に成立させるのであり、存在・認識・行動のこのような三位(さんみ)一体化は、ベルクソン哲学の完成であるとともに、古代存在論と近代認識論に対する超克の試みであった。
 ベルクソン哲学は、その後、実存主義や構造主義の台頭とともに青年層の人気を失ったが、それが示す世界像の生々たる多彩さは、今日また新鋭哲学者たちの共感を得つつある。主著としてほかに『物質と記憶』(1896)、『笑い』(1900)、『創造的進化』(1907)、『道徳と宗教の二源泉』(1932)がある。[中田光雄]
『中村雄二郎他訳『ベルグソン全集』全9巻(1965~1966/新装復刊・2001・白水社) ▽森口美都男訳『世界の名著64 ベルクソン』(1979・中央公論社) ▽澤瀉久敬他編『ベルグソン研究』(1961・勁草書房) ▽中田光雄著『ベルクソン哲学――実在と価値』(1977・東京大学出版会)』

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