ペン(英語表記)pen

翻訳|pen

デジタル大辞泉 「ペン」の意味・読み・例文・類語

ペン(pen)

インキをつけ、字や絵をかく洋風の筆記具。金属や鳥の羽軸で作る。また、万年筆ボールペンなどの総称。
文章を書くこと。文筆活動。また広く、言論活動。「ペンで生活する」
[類語]万年筆付けペン硬筆鉄筆ボールペン

ペン(Arthur Penn)

[1922~2010]米国の映画監督・舞台演出家。ヘレン=ケラーを描いた「奇跡の人」は、舞台と映画の双方で成功を収めた。「俺たちに明日あすはない」は、ニューシネマの代表的な作品とされる。他の監督作に「小さな巨人」など。アーサー=ペン。

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精選版 日本国語大辞典 「ペン」の意味・読み・例文・類語

ペン

  1. 〘 名詞 〙 ( [オランダ語] pen )
  2. 筆記具の一つ。鳥の羽軸(うじく)や金属の薄片で先端を尖った形に作り、縦に割目を入れ、そこにインクを含ませて文字などを書くもの。金属片のものは木などの軸につけて用いる。また、万年筆、ボールペンなど、インクを用いる筆記具の総称。
    1. [初出の実例]「筆をペンといふ鵝の羽の茎の大なるを用、本の方を尖に削り、孔へ墨を含ませ、左上より書始」(出典:西域物語(1798)中)
  3. 転じて、文章を書くこと。文筆活動をすること。
    1. [初出の実例]「しかかって居た翻訳の筆(ペン)を留めて」(出典:婦系図(1907)〈泉鏡花〉前)

ペン

  1. ( William Penn ウィリアム━ ) イギリスの新大陸開拓者。ペンシルベニア(ペンの森の意)の支配権を得て、フィラデルフィアを建設。(一六四四‐一七一八

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改訂新版 世界大百科事典 「ペン」の意味・わかりやすい解説

ペン
pen

筆記具の一つで,毛筆とならんで代表的なもの。語源はラテン語のpenna(翼,羽毛)で,もとは羽毛の軸の先にインキをつけて書くものを指した。羽根ペン,鵞ペンquillともいわれ,5世紀ころから19世紀まで使われていた。古くは文字を書くのに手の指や簡単な尖筆を用いたと思われるが,中空の管がインキを保持する点を利用して,古代エジプトではアシcalamusの茎が使用され,羽根ペンが出現して小さな字が可能になってからも,アシのペンは地中海地方に残っていた。羽根ペンの羽根は大型の鳥の翼からとり,北ヨーロッパのガチョウ,ガンを最良とし,ハクチョウ,シチメンチョウペリカンなどが利用された。細字用にはカラスの羽根も使われた。一般には羽枝を切り落として羽軸だけにし,小型ペンナイフで先をとがらせて用いたが,羽根を節約するため短く分割し,ホールダーにつけるくふうも19世紀には行われた。18世紀中葉以降,ドイツのヤンセンJ.Janssen,フランスのアルヌーJ.Arnoux,イギリスのハリソンW.Harrisonが金属でペン先をつくることを始めた。すでに17世紀に銀製ペンがあったという記録もある。しかし鋼鉄ペンが大量生産で普及するようになるのは1830年ころで,同年にはペリーJ.Perryがペン先中央の割れ目の左右にも割れ目をつける特許を得ている。

 日本へは1871年(明治4)ころ羽根ペンや金属ペンが輸入され,74年の大蔵省達書では,ペン,インキは必要なときは買って支給せよとあるから,短期間である程度普及したらしい。鋼鉄ペンはほとんどイギリス製だったが,97年には国産品が現れ,日本字用もつくられた。しかし,公文書のペン書きは1908年まで認められなかった。

 ペンはペン先をペン軸にさして用い,用途に応じて種々の形状・筆跡のものが安価に得られるため,一般の筆記用のほか,製図用のもの,地図を描く際に2本の並行線が一度に引ける鉄道ペンなどもつくられたが,最近は他の筆記具に移行している。ガラスペンは墨汁でも使えるよう1902年に日本で考案されたもので,鋼鉄ペンと形状は異なり,ガラス棒の周囲に縦溝をつけ,先端を細くとがらせたものである。
インキ →万年筆
執筆者:


ペン
William Penn
生没年:1644-1718

イギリスのクエーカー教徒の政治家,新大陸ペンシルベニア植民地の創設者。父は海軍提督。オックスフォード大学を中退,外遊後リンカンズ・インで法律を学んだが,1667年クエーカーに加わる。チャールズ2世およびジェームズ2世の知遇を得るが,クエーカーとして説教やパンフレットの著述に励み,数度の入獄にも屈せず,信教の自由と立憲政治のために闘う。70年代にウェスト・ジャージー植民地の経営に参画し,民主的統治のため憲章の作成に貢献。次いで自己の理想に基づく植民地の設立(〈神聖な実験〉)を企図し,父から相続したチャールズ2世の債務に対する代償として,81年ペンシルベニア(〈ペンの森〉という意味)の領主権を付与される。《政治の形体》を起草して82年に渡米,住民総会においてその採択をみた。この統治機構では,信教の自由など人権を尊重したが,政治的には保守的な面がのこされた。植民地滞在中(1682-84)インディアンとの友好関係の樹立やフィラデルフィア市建設計画など,広く活躍した。メリーランドとの境界問題や本国のクエーカー救済のために帰国し,名誉革命後ジェームズ2世との親交のゆえに嫌疑をかけられ,領主権を一時奪われた(1692-94)。復権後植民地を再訪(1699-1701),住民の要求をいれて民主的な〈権利の憲章〉を制定する。晩年は植民地との関係に円滑を欠き,家庭的不幸も加わり不運であった。
執筆者:


ペン
Irving Penn
生没年:1917-

アメリカの写真家。ニュージャージー州プレーンフィールドに生まれる。ペンシルベニア工芸大学を卒業後,《ハーパーズ・バザー》や《ボーグ》のアート・ディレクターR.アベドン,R.フランクなど数々の写真家を育てたA.ブロードビッチのもとでデザインを学び,1943年《ボーグ》誌のアート・ディレクターとなった。彼はそこですすめられて写真を撮り始める。ペンの写真は百数十回も《ボーグ》誌の表紙を飾っているが,これらのファッション写真は,クールで格調高いロマンティシズムに溢れたものである。またポートレートは優しいなかにも冷徹なまなざしがつらぬかれている。写真集《保存された瞬間Moment Preserved》(1961)は,彼の写真家としての仕事の全体を一望させるものである。
執筆者:

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百科事典マイペディア 「ペン」の意味・わかりやすい解説

ペン

米国の写真家。ニュージャージー州プレーンフィールド生れ。1934年―1938年,フィラデルフィア美術館工業美術大でブロドビッチに師事してデザインを学ぶ。1943年より《ボーグ》誌でデザインと写真のスタッフとなる。1946年より《ボーグ》誌等を発行する出版社であるコンデ・ナスト社の写真家として活動し,洗練されたセンスと高度な技術によるファッション写真を多数発表する。1952年以降は雑誌と並行してフリーの広告写真家としても活躍。ポートレート写真や静物写真でも優れた業績を残した。写真集に《とっておきの瞬間,写真と言葉に関する八つのエッセー》(1960年),《小さな部屋の中の世界》(1974年),《アービング・ペン》(1984年)などがある。

ペン

アメリカの映画監督,舞台演出家。ペンシルベニア州フィラデルフィア出身。第二次大戦従軍後,イタリアで地方劇団に加わり,1953年,帰国してTV界に入り,喜劇番組の演出で認められる。映画監督としては,1958年,《左ききの拳銃》(ポール・ニューマン主演)でデビュー。1959年,ブロードウェーでウイリアム・ギブソンの戯曲《奇跡の人》を演出,好評を博し,1962年,舞台と同じキャストで映画化,アン・バンクロフト(アカデミー賞主演女優賞),パティ・デユーク(アカデミー賞女優賞)にオスカーをもたらし映画監督としても成功した。1967年の《俺たちに明日はない》でニューアメリカンシネマの旗手と目された。その後,映画だけでなく舞台の演出もたびたび手がけた。

ペン

英国の開拓者。クエーカー教徒で,宗教的・政治的自由の地を求め,国王の特許状を得て北米植民地開拓に乗り出した。1682年渡米,フィラデルフィアを建設,信教の自由と人権の尊重を重んじる統治機構の確立を目標とし,インディアンと友好関係を保ちつつペンシルベニア(ペンの森の意)植民地の発展に努めた。
→関連項目フィラデルフィア

ペン

インキをつけて書く筆記具。penna(ラテン語。鳥の羽根)よりの語で,古くはガチョウなどの羽根の軸を削って使用。1830年ごろには,切れ目を入れ中央に穴をあけた鋼製ペン先が普及し,やがて金ペンの先にイリジウムをつけた万年筆用ペン先等が作られた。用途により製図用,事務用,日本字用,鉄道用など種類が多い。→ボールペン万年筆

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ペン」の解説

ペン
William Penn

1644~1718

ペンシルヴェニア植民地の建設者,領主。クエーカーであった彼は宗教的迫害を受けている人々に信仰の自由を与える植民地の建設を志し,チャールズ2世に願い出てそれを実現した。

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367日誕生日大事典 「ペン」の解説

ペン

生年月日:1621年4月23日
イギリスの提督
1670年没

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旺文社世界史事典 三訂版 「ペン」の解説

ペン

ウィリアム=ペン

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「ペン」の解説

ペン

スタイラス」のページをご覧ください。

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