ポリティカル・コレクトネス(読み)ポリティカルコレクトネス

百科事典マイペディア の解説

ポリティカル・コレクトネス

ポリティカリー・コレクトpolitically correctとも。略してPC。米国において1960年代から1970年代にかけての新左翼運動のなかで使われはじめた言葉。政治的適正,政治的妥当性,政治的正当性などと訳される。社会的・政治的実践において適切と思われる基準。被差別者・少数者の立場に立ち,被差別者や少数者に不利益をもたらすような慣用語や差別的表現を是正していこうという姿勢や運動をさす。具体的には〈人〉を意味する際にmanではなくpersonを用いるなど。こうした姿勢は,少数民族・女性の解放や権利の擁護運動を進める人々に支持され,西洋・男性中心主義を批判し,社会意識の変革を推進した。だが一方で保守陣営の反発を招き,また言葉や表現の是正がエスカレートすると,言葉の意味がわからなくなったり,文脈に関係なくあらゆる言動を検閲するような言葉狩りにおちいる危険性もあるとして,やがてそうした行き過ぎを非難する言葉としても用いられるようになった。被差別者の優遇をはかるアファーマティブ・アクションとともに,多民族国家アメリカを象徴する問題であり,その是非をめぐって議論が絶えない。
→関連項目アメリカ合衆国

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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