マクラウド真空計(読み)マクラウドシンクウケイ

デジタル大辞泉 「マクラウド真空計」の意味・読み・例文・類語

マクラウド‐しんくうけい【マクラウド真空計】

代表的な真空計の一。1874年、H=マクラウド考案真空に近い低圧力気体を圧縮し、その圧力と圧縮率をガラス管に入った水銀柱高さで測定することで、元の気体の圧力を求める。測定範囲は1万分の1~100パスカル程度。マクラウドゲージ

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化学辞典 第2版 「マクラウド真空計」の解説

マクラウド真空計
マクラウドシンクウケイ
McLeod gauge

1874年,H. McLeodが発明した真空計.非凝縮性の低圧気体は,温度を一定とすれば一定量の気体については圧力と体積との間にpV = 一定の関係がある.この関係を使って真空度を測定するのがマクラウド真空計である.もっとも普通に用いられているものを図示する.測定しようとする装置を真空計につなぎ水銀だめの水銀を補助ポンプとリーク弁によってその面を上下させる.水銀面の上昇により圧力 p0,体積 V0 の気体を断面積AのC枝内に圧力p,体積Vに圧縮したとすると

pVp0V0phA

pp0h

(ただし,pp0 は水銀柱の高さで表す)

これらの式から,

となる.V0 に対してAhを十分小さくとると,

真空計の感度を高くするためにはV0/Aを大きくすればよい.そのためには V0 を大きくし,Aを小さくすればよいが,V0 内の水銀を支えるためには V0 の大きさには限度があり,たかだか200~300 cm3 である.また毛管の太さもあまり細くすると表面降下現象があるので,普通は内径0.5 mm 程度のものが用いられている.測定気体中に水などの凝縮しやすい蒸気が含まれているときは,測定に誤差が大きくなる欠点がある.測定できる真空度の限界は 10-3 Pa までである.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「マクラウド真空計」の意味・わかりやすい解説

マクラウド真空計
まくらうどしんくうけい
MacLeod gauge

真空中の残留気体の体積を数千分の1程度に圧縮し、圧縮後の圧力および圧縮体積比から圧縮前の真空圧力を求める真空圧力計。マクラウドゲージともいう。1874年、マクラウドH. Mcleodが考案した。100~10-4パスカル程度の範囲の絶対測定が可能で、他の真空計を校正するための標準計器として用いられることが多い。上端を閉じた内径1ミリメートル程度の細管を備えた容積既知(通常100立方センチメートル)のガラス容器に真空を閉じ込め、この容器の下部から水銀面を押し上げて内部の気体を細管中に圧縮する。このときの圧力(正確には圧縮前の真空圧力と圧縮後の圧力との差)を水銀柱の高さの差として読み取り、一方、細管の目盛りから圧縮後の体積を知ることによって、ボイル法則から真空圧力が求められる。精密な測定値を得るには、水銀の蒸気圧に関する補正が必要である。

[三井清人]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マクラウド真空計」の意味・わかりやすい解説

マクラウド真空計
マクラウドしんくうけい
McLeod gauge

1874年 H.マクラウドが考案した真空計。測定原理は,低圧の気体を圧縮し,その前後で占める体積をはかり,圧力差を水銀柱の高さで読取って,ボイルの法則によってもとの低圧を求める。この真空計は,普通の水銀圧力計では測定できない低圧を絶対測定できるので,他の形式の真空計の校正に用いられる。最良の状態での測定誤差は 10-4 Torr以上で1%,10-5 Torrで数%程度である。しかし,この真空計はボイルの法則を前提としているので,この法則に従わない気体や蒸気には使えない。

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世界大百科事典(旧版)内のマクラウド真空計の言及

【真空計】より

… 大気圧から,だいたい102Pa(約1Torr)までは,U字管に液体を入れてその液面の高さの差から圧力を読みとるマノメーターmanometerや,ブルドン管などの弾性変形量から内外圧力差を読みとる真空計が多く使われる。これ以下の圧力領域(中・高真空領域)では,圧力の直接測定は容易でなく,気体の圧縮操作を介在させたマクラウド真空計McLeod gaugeや,気体の圧力と関数関係にある他の物理量,例えば分子密度,入射頻度,粘度,熱伝導度などの測定から圧力を間接的に求める真空計による。実際に使用されている主要な真空計を表に掲げる。…

※「マクラウド真空計」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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