マクロライド系抗生物質(読み)マクロライドケイコウセイブッシツ

デジタル大辞泉 「マクロライド系抗生物質」の意味・読み・例文・類語

マクロライドけい‐こうせいぶっしつ〔‐カウセイブツシツ〕【マクロライド系抗生物質】

マクロライドを含む抗生物質の総称。主に放線菌によって生産され、比較的副作用が少なく、抗菌スペクトルが広い。細菌のリボゾームのたんぱく質合成を阻害することで増殖を抑える。ロイコマイシンエリスロマイシンオレアンドマイシンクラリスロマイシンなどが知られる。マクロライド抗生物質大環状ラクトン抗生物質

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病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版 「マクロライド系抗生物質」の解説

マクロライド系抗生物質

製品名
《アジスロマイシン水和物製剤》
アジスロマイシン(共和薬品工業、ケミックス、昭和薬品化工、興和、小林化工、沢井製薬、サンド、シオノケミカル、全星薬品工業、第一三共エスファ、第一三共、武田テバファーマ、武田テバ薬品、武田薬品工業、高田製薬、辰巳化学、ニプロESファーマ、長生堂製薬、東和薬品、日医工、日本ケミファ、ニプロ、日本ジェネリック、富士製薬工業、陽進堂、わかもと製薬)
アジスロマイシン小児用(共和薬品工業、小林化工、シオノケミカル、高田製薬、辰巳化学、ニプロESファーマ、長生堂製薬、東和薬品、日本ジェネリック、陽進堂)
ジスロマック(ファイザー
ジスロマック小児用(ファイザー)
ジスロマックSR(ファイザー)
《エリスロマイシンエチルコハク酸エステル製剤》
エリスロシン(マイランEPD)
エリスロシンW(マイランEPD)
《エリスロマイシン製剤》
エリスロマイシン(沢井製薬)
《エリスロマイシンステアリン酸塩製剤》
エリスロシン(マイランEPD)
《クラリスロマイシン製剤》
クラリシッド(マイランEPD、大正製薬)
クラリシッド小児用(マイランEPD、大正製薬)
クラリス(大正ファーマ、大正製薬)
クラリス小児用(大正ファーマ、大正製薬)
クラリスロマイシン(エルメッド、エーザイ、大原薬品工業、杏林製薬、キョーリンリメディオ、興和創薬、興和、小林化工、沢井製薬、サンド、高田製薬、辰巳化学、ニプロESファーマ、長生堂製薬、武田テバファーマ、武田薬品工業、東和薬品、日医工、日本ケミファ、ニプロ、日本ジェネリック、日本薬品工業、富士フイルムファーマ、マイラン製薬、ファイザー、メディサ新薬、Meiji Seika ファルマ)
クラリスロマイシン小児用(エルメッド、エーザイ、大原薬品工業、杏林製薬、キョーリンリメディオ、小林化工、沢井製薬、塩野義製薬、高田製薬、田辺製薬販売、田辺三菱製薬、長生堂製薬、武田テバファーマ、武田薬品工業、東和薬品、日医工、日本ケミファ、ニプロ、日本ジェネリック、日本薬品工業、ファイザー、富士フイルムファーマ、マイラン製薬、Meiji Seika ファルマ、辰巳化学)
クラリスロマイシンDS(小林化工、Meiji Seikaファルマ)
クラリスロマイシンDS小児用(エルメッド、沢井製薬、東和薬品、日医工、メディサ新薬)
クラロイシン(シオノケミカル、科研製薬)
クラロイシン小児用(シオノケミカル、科研製薬)
マインベース(セオリアファーマ、武田薬品工業)
マインベース小児用(セオリアファーマ、武田薬品工業)
《ジョサマイシン製剤》
ジョサマイシン(アステラス製薬)
《ジョサマイシンプロピオン酸エステル製剤》
ジョサマイ(アステラス製薬)
《スピラマイシン酢酸エステル製剤》
アセチルスピラマイシン(アスペンジャパン)
《ロキシスロマイシン製剤》
ルリッド(サノフィ)
ロキシスロマイシン(サンド、沢井製薬、日医工、日医工ファーマ、東和薬品、長生堂製薬、日本ジェネリック、ファイザー)

 病原微生物が生育するのに必要な蛋白質たんぱくしつができるのを阻害する抗生物質で、病原微生物を死滅させるのでなく、増殖を抑えるようにはたらきます(静菌作用)。


 おもに、ブドウ球菌、マイコプラズマ、連鎖球菌、肺炎球菌、髄膜炎菌淋菌りんきんジフテリア菌、梅毒トレポネーマなどの感染によって引きおこされた感染症扁桃炎へんとうえん咽頭炎いんとうえん喉頭炎こうとうえん気管支炎肺炎などの呼吸器感染症ようせつ膿痂疹のうかしんなどの皮膚感染症中耳炎副鼻腔炎ふくびくうえん智歯周囲炎ちししゅういえんなどの耳歯の感染症乳腺炎にゅうせんえんリンパ節炎骨膜炎ジフテリア破傷風はしょうふう百日咳ひゃくにちぜき淋病梅毒アメーバ赤痢腎盂腎炎じんうじんえん膀胱炎ぼうこうえん尿道炎、子宮頸管炎などの感染症)、骨盤内炎症性疾患、HIV感染症に伴う播種はしゅ性マイコバクテリア感染症の治療に使われます。


 セフェム系やペニシリン系抗生物質が登場して以来、あまり使われなくなった薬ですが、セフェム系・ペニシリン系抗生物質では効かない病原微生物も出現するようになり、その病原微生物によっておこった感染症の治療薬として価値が見直されています。


 また、過敏症状のためにセフェム系抗生物質が使えない人に代替薬として用いられます。


 クラリスロマイシン製剤は、非結核性抗酸菌症、消化性潰瘍におけるヘリコバクターピロリ菌の除菌やピロリ感染胃炎にも使用されます。


 アジスロマイシン水和物製剤の250㎎錠は、骨盤内炎症性疾患の注射剤による治療をおこなったあとに用います。


 アジスロマイシン水和物製剤の高単位製剤(1錠600㎎)、クラリスロマイシン製剤の高単位製剤(1錠200㎎)およびクラリスロマイシン小児用は、進行したHIV感染症における播種性はしゅせいマイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症の発症抑制及び治療に用います。


①過敏症状(発疹ほっしん、かゆみなどのアレルギー症状)、ショック、アナフィラキシー、偽膜性大腸炎、皮膚粘膜眼症候群をおこすことがあります。これらの症状がおこったときは使用を中止し、すぐ医師に相談してください。


 そのほかに アジスロマイシン水和物製剤では、中毒性表皮壊死えし融解症、急性汎発性発疹性膿疱症、薬剤性過敏症症候群、肝炎、肝機能障害、黄疸、肝不全急性腎障害、出血性大腸炎、間質性肺炎、好酸球性肺炎、QT延長、心室性頻脈、白血球減少、顆粒球減少、血小板減少、横紋筋融解症が現れることがあります。


 エリスロマイシン製剤エリスロマイシンエチルコハク酸エステル製剤では、中毒性表皮壊死えし融解症、肝機能障害、黄疸、急性腎障害、QT延長、心室頻拍が現れることがあります。


 クラリスロマイシン製剤では、中毒性表皮壊死えし融解症、多形紅斑、薬剤性過敏症症候群、劇症肝炎、急性腎障害、尿細管間質性腎炎、出血性大腸炎、間質性肺炎、PIE症候群、白血球減少、顆粒球減少、血小板減少、溶血性貧血、無顆粒球症、横紋筋融解症、けいれん、アレルギー性紫斑病が現れることがあります。


 ロキシスロマイシン製剤では、肝機能障害、黄疸、出血性大腸炎、間質性肺炎、QT延長、心室頻拍、血小板減少が現れることがあります。


 これらの症状がおこったときは使用を中止し、すぐ医師に相談してください。


②胃腸障害、下痢、吐き気・嘔吐おうと、発疹、食欲不振、耳鳴り、急性腎障害、皮膚粘膜眼症候群、中毒性表皮壊死えし症、横紋筋融解症、偽膜性大腸炎などが現れることがあります。このような症状が現れたときは、医師に相談してください。とくに下痢がおこったときは、菌交代症による腸炎の可能性があるので、使用を止めて医師に相談してください。


 また、薬の効果や副作用出現の有無を調べるために医師から検査を指示されることがあります。


①いろいろな剤型があり、食後の服用が原則です。1日あるいは1回の服用量、服用時間については、医師の指示をきちんと守り、かってに中止、減量・増量しないでください。


 服用するときは、十分な水(コップ1杯以上の水)で飲んでください。ジスロマックSRでは、服用するとき(用時)に水で懸濁けんだくし、空腹時に1回内服してください。


②マクロライド系抗生物質(とくにアセチルスピラマイシンなど)を用いて過敏症状をおこしたことのある人には原則として使用できません。また、クラリスロマイシン製剤では、肝臓または腎臓に障害がある人でコルヒチン製剤を使用中の人、ピモジド製剤、エルゴタミン含有製剤、スボレキサント製剤、ロミタピドメシル酸塩製剤、タダラフィル製剤、チカグレロル製剤、イブルチニブ製剤、アスナプレビル製剤、バニプレビル製剤を使用中の人は、あらかじめ医師に報告してください。


③肝臓・腎臓じんぞう・胃腸などに障害のある人、抗アレルギー剤のテルフェナジン製剤を使用中の人、妊婦あるいは現在妊娠している可能性のある人、未熟児、新生児には、使用できない薬もあります。


 また、使用量を減らすといった配慮をしないと、病状を悪化させたり、胎児に悪影響を及ぼすこともあるので、あらかじめその旨を医師に報告してください。


 アジスロマイシン水和物製剤では、心疾患の人は医師に相談してから用いてください。また、意識障害があらわれることがあるので、自動車の運転には注意が必要です。


④長期間の服用が必要な人には、副作用を早期にチェックするための定期的な検査が指示されます。必ず受けてください。


⑤処方された抗生物質は、その病気の治療のみに使用し、ほかの感染症の治療に用いたり、他人に与えたりしないでください。


⑥使用中にほかの薬を使う必要が生じた場合は、前もって医師に相談してください。とくにエルゴタミン酒石酸塩配合製剤カルバマゼピン製剤ジゴキシン製剤テオフィリン製剤ワルファリンカリウム製剤シンバスタチン製剤ピモジド製剤カルシウム拮抗剤タダラフィル製剤などと併用すると、それらの薬の効果を強めたり、副作用が現れやすくなることがあります。

出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報

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