病原微生物が生育するのに必要な
おもに、ブドウ球菌、マイコプラズマ、連鎖球菌、肺炎球菌、髄膜炎菌、
セフェム系やペニシリン系抗生物質が登場して以来、あまり使われなくなった薬ですが、セフェム系・ペニシリン系抗生物質では効かない病原微生物も出現するようになり、その病原微生物によっておこった感染症の治療薬として価値が見直されています。
また、過敏症状のためにセフェム系抗生物質が使えない人に代替薬として用いられます。
クラリスロマイシン製剤は、非結核性抗酸菌症、消化性潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ菌の除菌やピロリ感染胃炎にも使用されます。
アジスロマイシン水和物製剤の250㎎錠は、骨盤内炎症性疾患の注射剤による治療をおこなったあとに用います。
アジスロマイシン水和物製剤の高単位製剤(1錠600㎎)、クラリスロマイシン製剤の高単位製剤(1錠200㎎)およびクラリスロマイシン小児用は、進行したHIV感染症における
①過敏症状(
そのほかに アジスロマイシン水和物製剤では、中毒性表皮
エリスロマイシン製剤・エリスロマイシンエチルコハク酸エステル製剤では、中毒性表皮
クラリスロマイシン製剤では、中毒性表皮
ロキシスロマイシン製剤では、肝機能障害、黄疸、出血性大腸炎、間質性肺炎、QT延長、心室頻拍、血小板減少が現れることがあります。
これらの症状がおこったときは使用を中止し、すぐ医師に相談してください。
②胃腸障害、下痢、吐き気・
また、薬の効果や副作用出現の有無を調べるために医師から検査を指示されることがあります。
①いろいろな剤型があり、食後の服用が原則です。1日あるいは1回の服用量、服用時間については、医師の指示をきちんと守り、かってに中止、減量・増量しないでください。
服用するときは、十分な水(コップ1杯以上の水)で飲んでください。ジスロマックSRでは、服用するとき(用時)に水で
②マクロライド系抗生物質(とくにアセチルスピラマイシンなど)を用いて過敏症状をおこしたことのある人には原則として使用できません。また、クラリスロマイシン製剤では、肝臓または腎臓に障害がある人でコルヒチン製剤を使用中の人、ピモジド製剤、エルゴタミン含有製剤、スボレキサント製剤、ロミタピドメシル酸塩製剤、タダラフィル製剤、チカグレロル製剤、イブルチニブ製剤、アスナプレビル製剤、バニプレビル製剤を使用中の人は、あらかじめ医師に報告してください。
③肝臓・
また、使用量を減らすといった配慮をしないと、病状を悪化させたり、胎児に悪影響を及ぼすこともあるので、あらかじめその旨を医師に報告してください。
アジスロマイシン水和物製剤では、心疾患の人は医師に相談してから用いてください。また、意識障害があらわれることがあるので、自動車の運転には注意が必要です。
④長期間の服用が必要な人には、副作用を早期にチェックするための定期的な検査が指示されます。必ず受けてください。
⑤処方された抗生物質は、その病気の治療のみに使用し、ほかの感染症の治療に用いたり、他人に与えたりしないでください。
⑥使用中にほかの薬を使う必要が生じた場合は、前もって医師に相談してください。とくにエルゴタミン酒石酸塩配合製剤、カルバマゼピン製剤、ジゴキシン製剤、テオフィリン製剤、ワルファリンカリウム製剤、シンバスタチン製剤、ピモジド製剤、カルシウム拮抗剤、タダラフィル製剤などと併用すると、それらの薬の効果を強めたり、副作用が現れやすくなることがあります。
出典 病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版病院でもらった薬がわかる 薬の手引き 電子改訂版について 情報
細菌に対して広範囲に効果を発揮する抗生物質。大きな(macro)ラクトン環をもつ(-olide)抗生物質の意味でこの名がつけられた。グラム陽性菌、グラム陰性菌、非定型菌などに効果を発揮するが、嫌気性菌への作用はやや劣る。適応は、肺炎、インフルエンザ、百日咳(ひゃくにちぜき)、カンピロバクター腸炎、マイコプラズマ肺炎、クラミジア感染症、リケッチア、レジオネラ症などのほか、気管支炎、中耳炎や副鼻腔(ふくびくう)炎、咽頭(いんとう)炎や喉頭(こうとう)炎などにも使用される。またペニシリンアレルギー患者に対する代替薬としても用いられる。
細菌のタンパク質を合成するリボソームを阻害することによって増殖を抑えるように働く。マクロライド系抗生物質には、開発順にエリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシンなどの種類がある。かつてはエリスロマイシンが多く使われていたが、下痢や腹痛など消化器症状の副作用も少なく、胃酸などの影響をあまり受けずに吸収され、作用時間も長いクラリスロマイシンやアジスロマイシンが新たに開発されてより多く使われるようになった。ノーベル医学生理学賞を受賞した大村智(おおむらさとし)が発見したエバーメクチンをもとに、アメリカの製薬会社が寄生虫駆除薬として開発したイベルメクチンもマクロライド系抗生物質で、この薬はオンコセルカ症の特効薬としてよく知られる。
マクロライド系抗生物質は抗生物質のなかでも副作用が比較的少ないため、小児から高齢者まで広く多用される傾向にあるが、そのため薬剤耐性をもつ耐性菌の増加が問題となっている。また一つの抗生物質に対する耐性が獲得されると、他の抗菌薬に耐性が及ぶ交叉(こうさ)耐性をもつため、乱用は避けるべきである。ほかの薬剤との薬剤相互作用は少ないとされるが、気管支拡張薬のテオフィリン、カルバマゼピンなどの抗てんかん薬、ワルファリンなどの抗凝血薬、シクロスポリンなどの免疫抑制薬などとの併用は注意が必要である。
[編集部 2016年5月19日]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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