最初の世界周航者。マゼランMagellanは英語名で,ポルトガル語ではマガリャンイス。ポルトガルのオポルト付近に生まれたが,その出自などについては不明な点が多い。1505年F.アルメイダの艦隊に参加してインドに向かい,09年にはD.L.セケイラの艦隊に加わってマラッカを訪れている。12年に本国に帰還したが,報酬について王室に対し不満を抱き,翌年モロッコ遠征に参加した際には戦利品を不法に取得したかどで訴えられた。おそらくこうした不満のために彼は17年にスペインに移り,かねてからの持論であった西回りでトルデシーリャス条約で定められたスペインの海域のみを通過して香料諸島に到達する航海を提案した。そしてスペイン国王と契約を結び,19年9月20日5隻の船隊(総員237名)を率いてサンルカル・デ・バラメダ港を出帆した。一行はマゼラン海峡の通過(1520年11月28日),南太平洋の横断という偉業を成し遂げ,21年3月17日フィリピンのサマール島の南にあるオモンオン島に上陸した。一行はさらにセブに向かい,住民を服従させようとしたが失敗し,4月27日マゼランはマクタン島で交戦中にラプ・ラプによって殺された。一行はそのまま香料諸島に向かい,そこで香料を積荷したのち,スペインに直行し,22年9月6日生存者18名がサンルカル港に到着した。この世界周航によって地球は球形であることや,日付に1日の差の生ずることが実証された。
執筆者:生田 滋
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金星表面の詳しい地表図を作成することを目的とした惑星探査機。1989年5月にNASA(ナサ)(アメリカ航空宇宙局)により打ち上げられた。スペースシャトル・アトランティスに搭載されて地球周回軌道上に運ばれ、アトランティスから固体ロケットで金星に向け打ち出された。1990年8月に金星周回軌道に到着している。金星は厚い大気に覆われ、金星表面の詳細な地形図がわかっていなかった。マゼランは合成開口レーダーを使い、金星のほぼ全域にわたり、高解像度の詳細な地形図を作成した。マゼランの大きさは1.5×0.9×0.3メートルで、打上げ時の質量は3349キログラム。直径3.7メートルの高利得アンテナとレーダーアンテナを備える。1994年9月に金星大気の抵抗を使って速度を落とす技術を用いて、高度を下げる実験を行い、より低高度での観測を実施、同年10月には金星大気に突入して消滅した。
[編集部 2023年4月20日]
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1480頃~1521
ポルトガル出身の航海者。ポルトガル名はマガリャンイス。ポルトガル王室に仕えてアジアで活躍したが,待遇への不満などからスペインに移り,カルロス1世と契約を結んで,1519年9月,約280人を乗せた5隻の船隊で西回り香料諸島航路開拓に出発。マゼラン海峡を発見して太平洋を横断し,21年3月フィリピン諸島に到着した。マゼランはマクタン島で現地住民の紛争に巻き込まれて死んだが,残りの隊員は11月香料諸島に到着し,セバスティアン・デル・カノ以下18名が,22年9月ビクトリア号でセビリャに帰着して,史上初の世界周航を達成した。
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…セブ州の州都で,中・南部フィリピンの政治・経済・文化の中心地である。1521年世界周航の途中に立ち寄ったマゼランの一行により,ここでフィリピン最初の聖餐式と洗礼が行われた。65年スペインのレガスピ一行によって植民地経営の拠点に選ばれ,71年総督府のマニラ移転後も引き続き中・南部支配の根拠地であった。…
…1493年以降数回の航海がコロンブスの指揮下に行われ,イスパニオラ島に植民地が建設されたが,彼が新たに発見した土地はジパングなどではなく,まったくの〈新大陸〉であることが明らかになってきたので,1505年からは西回りでモルッカ諸島に到達しようという試みがなされた。そして19年に本国を出発したマゼランの船隊がホーン岬を回って太平洋に出て,マゼラン自身は途中で殺されたが,船隊は21年にモルッカ諸島に到着した。 一方,マヌエル王はマゼランの船隊の出発を知って急ぎモルッカ諸島に要塞を建設するための船隊を派遣したが,その到着はマゼランの船隊よりもわずかに遅れた。…
…こうしてスペインが太平洋探検史の幕を開けることになった。 太平洋横断と世界一周航海を最初に達成したのはマゼランである。彼はポルトガル人だったが,スペイン国王カルロス1世の援助でトリニダード号を旗艦とする艦隊を組み,1519年セビリャを出帆した。…
…南アメリカ大陸の南端とマゼラン海峡を隔てて向かい合う三角形状の島。〈火の島〉の意。…
…セブ市の対岸に横たわるサンゴ礁の隆起によってできた。マゼランは世界周航の途中この島で戦死したが,当時の首長ラプ・ラプの勲功をたたえて記念碑が建てられている。島全体が標高3m以下の低平地からなるが,風化が進んでいないため農耕には適さない。…
…世界周航途次のマゼランをマクタン島で殺したフィリピンの民族的英雄。生没年不詳。…
※「マゼラン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...
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