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ムスカリン muscarine

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ムスカリン
muscarine

化学式 C9H20O2N+ 。ベニテングタケ,テングタケなどに含まれるアルカロイド。塩化物 C9H20O2N+Cl- は太い角柱状晶。融点 180~181℃。吸湿性が強い。水,エチルアルコールによく溶け,クロロホルム,エーテル,アセトンにわずかに溶ける。副交感神経の末梢を興奮させる作用 (流涎,流涙,発汗,縮瞳,下痢,嘔吐など) がある。アトロピンはこれと拮抗作用を示す。

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栄養・生化学辞典の解説

ムスカリン

 C9H20NO2 (mw174.26).

 ベニテングダケに含まれるアルカロイドで,副交感神経が支配する平滑筋に作用してアセチルコリン様の効果を示す.

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世界大百科事典 第2版の解説

ムスカリン【muscarine】

ベニテングタケ,テングタケなどの有毒キノコに含まれるアルカロイド。副交感神経に作用して唾液分泌,流涙,発汗,吐き気,嘔吐,下痢,脈拍数減少,循環虚脱などの中毒症状を現し,さらには痙攣(けいれん)や昏睡から死にいたらしめる。解毒剤としては硫酸アトロピンが有効。ムスカリン中毒の症状が,迷走神経を刺激したときの効果と非常によく似ているところから,迷走神経はその終末からムスカリン類似物質を放出して,支配する効果器に興奮を伝達しているのではないかとの仮説が出されたこともあるが,その後,伝達物質の本体はアセチルコリンであることが明確になった。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

ムスカリン【muscarine】

テングタケなど毒きのこに含まれるアルカロイド。副交感神経に作用して、発汗・嘔吐・下痢などの症状を引き起こす。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ムスカリン
むすかりん
muscarine

毒キノコのアセタケに多量に含まれるアルカロイドで、テングタケやベニテングタケにも少量含まれる。副交感神経支配のアセチルコリン受容体(レセプター)に作用して副交感神経が興奮したときと同じ作用(ムスカリン作用といい、心臓機能抑制、血管拡張、唾液(だえき)分泌、流涙、気管支収縮、胃腸刺激などをおこす)をする。実験薬理学的に用いられるが、臨床的には使われていない。なお、ムスカリン作用はアトロピンのような副交感神経抑制薬によって作用が打ち消される。[幸保文治]
『大江慶治・早川滉編『胃酸分泌機構と壁細胞受容体拮抗剤』(1986・東洋書店) ▽小川紀雄編著『新 脳のレセプター』(1989・世界保健通信社) ▽山下衛・古川久彦著『きのこ中毒』(1993・共立出版)』

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世界大百科事典内のムスカリンの言及

【アセタケ(汗茸)】より

…この特異な症状のため医学界からも注目されたが,その後アセタケなるキノコによる中毒がでないため,アセタケの正体は不明のままでいる。しかしアセタケ属Inocybeにはテングタケの毒成分として名高いアルカロイド,ムスカリンmuscarineを含む種が多く,その含有量はテングタケをはるかにしのぐのでアセタケ属のキノコはすべて警戒する必要がある。アセタケ属には日本だけでも50種ほどある。…

【アセタケ(汗茸)】より

…この特異な症状のため医学界からも注目されたが,その後アセタケなるキノコによる中毒がでないため,アセタケの正体は不明のままでいる。しかしアセタケ属Inocybeにはテングタケの毒成分として名高いアルカロイド,ムスカリンmuscarineを含む種が多く,その含有量はテングタケをはるかにしのぐのでアセタケ属のキノコはすべて警戒する必要がある。アセタケ属には日本だけでも50種ほどある。…

【自律神経薬】より

レセルピンは,中枢神経にも作用してトランキライザー作用を発揮する。
[副交感神経興奮薬parasympathomimetic agent]
 副交感神経終末から興奮伝達物質として放出されるアセチルコリンが結合して効果器に興奮を伝達する部位,すなわち,アセチルコリン受容体のうちでもムスカリン様受容体と呼ばれるものを興奮させて,副交感神経興奮と同様の効果を発現する薬物をいう。この種の薬物は,アセチルコリン,ムスカリン,ピロカルピン,メタコリンなどのように直接受容体に作用するものと,神経終末から放出されたアセチルコリンを分解する酵素であるコリンエステラーゼを阻害して,アセチルコリンの蓄積をもたらすもの(抗コリンエステラーゼ薬)とに大別される。…

※「ムスカリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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