メートル法の長さの旧標準器。メートル法を国際化のために1870年と72年に開かれた国際メートル委員会の決議に基づいて79年に製作され,89年の第1回国際度量衡総会で長さの国際原器として承認されたものさしである。耐食性と堅牢性をもたせるために10%のイリジウムを含む白金イリジウム合金で作られた,長さが1020mm,高さと幅がともに20mmの棒状の線度器で,その断面は剛直性,温度順応性,経済性の追究からX字に近いH形をしている。その形状を考案者にちなんでトレスカTreskaの断面という。棒の中立面の両端近くに1対の小判形の研磨面があり,おのおのに長さを定めるための標線が3本ずつ刻まれている。この棒を定められた条件を満たすように置いたとき,各中央の標線の間の距離が,氷の溶けつつある温度で1mであると定義されていた。この原器による複製原器の器差づけ精度は1×10⁻7程度であり,科学,技術の要求する精度に達しなくなったため,1960年の国際度量衡総会はメートル原器に基づくメートルの定義を廃止し,光の波長による定義を採用した。このためメートル原器は長さの標準器ではなくなったが,従来どおり国際度量衡局に保管されている。
執筆者:三宅 史
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