イタリアの詩人,批評家。20世紀イタリア詩の主流〈エルメティズモ〉の立役者の一人。北イタリアの海港ジェノバの富裕な商家に生まれ,幼少年時代から青年時代にかけて,リグリア東海岸の風光明美な土地レ・チンクェ・テレに一年の半ばを過ごした。とりわけ,別荘のあった入江の町モンテロッソの海と山は,モンターレの詩的世界の源泉となった。しかし初めはオペラ歌手を志して,声楽家エルネスト・シーボリの弟子になったが,舞台に立つ直前に師が急死し,歌手になるのを断念した。モンターレの詩にはさまざまな形で音楽性が秘められている。後年,音楽評論においても一家をなした。
第1次世界大戦には歩兵将校として従軍(1915-18),戦後(1921)トリノでセルジョ・ソルミ,G.デベネデッティらと文学雑誌《プリモ・テンポPrimo tempo》を創刊,まず評論活動を展開した。1925年に,当時まったく無名であったI.ズベーボの作品論を発表した功績は大きい。しかし,それにもまして,反ファシズムの思想家P.ゴベッティの出版社で刊行した処女詩集《烏賊(いか)の骨》(1925)は20世紀ヨーロッパ詩の金字塔となった。詩集《機会》(1939),《嵐,その他》(1956),《サートゥラ》(1971)などの業績により,75年にノーベル文学賞を贈られた。美のための美を強固に拒んだ詩法と,時代を超えて苦しむ魂を歌いつづけた詩人の態度は,絶妙な諧謔の精神と相まって,20世紀最高の詩人の一人にしている。
執筆者:河島 英昭
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…ただし,その適用に大別して二つの方向性がある。第一は,19世紀から20世紀初めにかけての三大詩人,カルドゥッチ,パスコリ,ダヌンツィオに代表される旧来の修辞法と鋭く対立し,新たに自由な韻律の口語詩をあらわしたウンガレッティ,モンターレ,クアジモドらの純粋詩を総称する。これは批評家アンチェスキの《20世紀イタリアの詩法》(1953)に見られるごとく,イタリアの純粋詩〈エルメティズモ〉を,象徴主義とりわけマラルメからバレリーにかけてのフランス現代詩の流れと重ね合わせようとする態度で,より広く支持されている。…
※「モンターレ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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