デジタル大辞泉
「ユーイング肉腫」の意味・読み・例文・類語
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「ユーイング肉腫」の解説
ゆーいんぐにくしゅ【ユーイング肉腫 Ewing Sarcoma】
[どんな病気か]
きわめて進行が早く、悪性度の高い骨の悪性腫瘍(がん)です。
大部分が子どもにおこります。もっとも発生数の多い年齢は10歳代で、つぎは10歳未満です。
この腫瘍は、腫瘍が骨を形成するのではなく、骨を破壊しながら増殖するものです。
この病気が発生しやすい部位は、骨盤(こつばん)、肩甲骨(けんこうこつ)などの扁平骨(へんぺいこつ)と、大腿骨(だいたいこつ)(ももの太い骨)、上腕骨(じょうわんこつ)、脛骨(けいこつ)(すねの太い骨)など、大きくて長い筒状の骨(長管骨(ちょうかんこつ))です。
[症状]
初期の症状は、ほとんどが痛みです。悪性腫瘍に共通する症状は、痛みがしだいに強まることで、ユーイング肉腫の場合も同じ経過をたどります。
さらに、肉腫のあるところが熱い感じがし、発熱、白血球(はっけっきゅう)の増加など、炎症のような症状がみられることもあります。
[検査と診断]
診断は、単純X線像のほかに、CT、MRI、骨シンチグラフィー(アイソトープによる画像で腫瘍を見つける検査)などの画像検査、悪性骨腫瘍に対する一連の検査を行ないます。
骨肉腫(こつにくしゅ)との見分けがつきにくい場合もあり、最終的には、腫瘍の一部をとって顕微鏡で調べる生検(せいけん)が必要となります。
[治療]
まず、抗がん剤などによる化学療法が行なわれます。
この腫瘍は、きわめて悪性の程度が高く、非常に早い時期に、他の骨や肺などの遠いところへの転移(遠隔転移)をおこしやすいので、全身を相手にしなければならないからです。
まず、強力な化学療法を行なって、遠隔転移を防ぐようにした後に、腫瘍を切除します。
腫瘍の切除が不可能な場合には、放射線照射で、腫瘍を殺す治療が行なわれます。
手術療法の後も、転移を防ぐため、化学療法が続けられます。
治療成績は、しだいによくなっていますが、まだ十分ではありません。腕や脚(あし)にユーイング肉腫が発生した場合、手術後の5年生存率(5年たった時点での生存率)は60%ですが、10年後の生存率は、36%にすぎません。
出典 小学館家庭医学館について 情報
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ユーイング肉腫
ユーイングにくしゅ
Ewing's sarcoma
比較的まれな骨の悪性腫瘍。腫瘍細胞は円形細胞から成り,内部にグリコーゲンを有するが,その本態は不明である。症状としては,発熱,貧血,白血球の増加が多くみられる。骨盤,大腿骨によく生じるが,脊椎,肩甲骨その他にも発生しうる。 10歳代に多発する。治療には,手術療法,化学療法とともに,特に放射線療法が効果的である。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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