日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨハネス(5世)」の意味・わかりやすい解説
ヨハネス(5世)
よはねす
Johannes V
(1332―1391)
ビザンティン皇帝(在位1341~76、1379~91)。父アンドロニコス3世の死後9歳で即位。母アンナの摂政(せっしょう)に反対する元宰相カンタクゼノス(ヨハネス6世)の反乱と帝位簒奪(さんだつ)(1341~54)により、政治の実権を握ったのは22歳のときである。内乱により弱体化した帝国の周辺では、アドリアノープル(1362)、マケドニア(1371)がトルコ領となり、セルビア王国がトルコに屈したとき(1370)、ビザンティン帝国も進貢義務を負うトルコの衛星国になり下がった。皇帝は、この重圧を逃れるため教会統一を条件に西欧の軍事援助を求めたが、不成功に終わった。そしてトルコ軍の包囲網が狭まり、政情不安が増大し、帝位をマヌエル2世に譲った。
[和田 廣]