楽劇のなかでしばしば登場する主題ないし動機で、特定の人物、事物などを象徴する機能をもつが、場合に応じて変形され、楽劇の発展を担ってゆく。ワーグナーはすでに初期のオペラ『さまよえるオランダ人』(1842)、『ローエングリン』(1848)でこの手法をとっているが、理論として確立するのは『オペラとドラマ』(1851)の著作を通じてである。ただしこの名称そのものは用いられておらず、後年、ハンス・フォン・ウォルツォーゲンHans von Wolzogen(1848―1938)のワーグナー研究で初めて使用された。示導動機、主導動機、誘導動機などと訳される。
[樋口隆一]
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