ラスコー(英語表記)Lascaux

デジタル大辞泉 「ラスコー」の意味・読み・例文・類語

ラスコー(Lascaux)

フランス南西部、ドルドーニュ川の支流のベゼール川南岸にある都市。近郊のモンティニャックにラスコー洞窟どうくつがある。1940年にその中で発見された彩色動物壁画は、後期旧石器時代終末期のものとされており、1979年に「ベゼール渓谷の先史時代史跡群と洞窟壁画群」の一部として世界遺産文化遺産)に登録された。

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改訂新版 世界大百科事典 「ラスコー」の意味・わかりやすい解説

ラスコー
Lascaux

フランス南西部,ドルドーニュDordogne県モンティニャックMontignac村の南方にある旧石器時代の洞窟遺跡。1940年土地の少年たちによって発見された。洞窟は主洞(長さ15.5m,幅9m),奥洞(長さ30m,幅0.5~3m),主洞から通路を経て右に分岐する〈後陣〉(直径4mの円形),〈身廊〉(長さ25m,幅1~3m),〈井戸竪坑)〉(井戸のように5m落ちこんだところ)と名づけられる支洞の3部分からなる。最大5.5mの大牛など,約200点の形象が壁や天井に描き刻まれ,保存状態は良好である。馬が最も多く,ついで牛,シカ,ビゾンが多い。ほかに猫,サイ,オオカミ,熊,鳥,架空動物,人物やわな図形などが見られる。大部分の形象がマドレーヌ期に属し,大別すると次の四つの時期に分けられる。(1)主洞の架空動物や奥洞のヤギのような輪郭線だけの動物像と,奥洞のシカのような単色画。(2)身体の要所に黒色を入れた2色画の大部分。(3)陰影や明暗を巧みに示す単色画や,黄,赤,黒,褐色など,2色以上の絵具をまぜたり塗り分けたりした多色画。(4)〈後陣〉の線刻画の大部分。

 旧石器時代の洞窟壁画は,雌雄一対としてあらわされる以外,すべて単独像であるが,〈井戸〉には例外的に構図があらわれる。すなわち,ビゾンは尻から腹に槍を突き刺されて内臓を露出し,後ろをふりむいて尾をはねる。その前に,斜めに倒れた人物が見られ,頭が小さくて鳥のようなくちばしをもつ。その足もとに小さな鉤つきの棒があるが,これは投槍器であろう。その左に,先端に鳥を刻んだ棒がある。この絵については,狩猟の光景をあらわすとか,呪術場面であるとかの議論がある。〈井戸〉から発見された木炭の炭素14法による測定値は1万5516±900年(1949測定)であった。なお,ラスコーの洞窟には人間が居住した形跡はなく,壁画を描き,それを呪術的に利用するためにのみ用いられたと考えられている。現在は剝落が激しいため公開されていない。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ラスコー」の意味・わかりやすい解説

ラスコー
Lascaux

南フランスのドルドーニュ県モンティニャック近郊のラスコーにある旧石器時代の洞窟遺跡。 1940年穴に落ちたイヌを捜していた土地の少年たちが偶然発見した。そこに残されていた洞窟画はアルタミラ洞窟の壁画と並んでフランコ・カンタブリア美術の最も有名な旧石器時代絵画で,野生のウマ,ウシ,ヒツジ,ヤギなどが黒,赤,黄,褐色などを使って多彩に描かれていた。さらに矢で射られた動物,野牛に襲われた人間 (鳥の頭の形をした単純な人体) など約 500の彩画と刻線画も含まれていた。洞窟は主洞,支洞,奥洞の3部分からなり,描かれた時期はオーリニャック期 (→オーリニャック文化 ) ,マドレーヌ期 (→マドレーヌ文化 ) と推定されている。発見後しばらく公開されたが,カビによる損傷がひどく閉鎖され,その後複製模型が「第2ラスコー」として公開された。 1979年付近の遺跡群とともに世界遺産の文化遺産に登録。

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百科事典マイペディア 「ラスコー」の意味・わかりやすい解説

ラスコー

フランス,ドルドーニュ地方ベゼル川河畔の丘の上にあり,アルタミラとともに後期旧石器時代を代表する壁画が残る洞窟遺跡。主洞と奥洞,主洞から右側に分かれた支洞の3部分からなり,ウシ,ウマ,シカなど100点以上の彩画の動物像が描かれている。1940年土地の少年によって発見。緑藻が壁面に繁殖しはじめたため,1963年公開を中止した。1979年世界文化遺産に登録。
→関連項目洞窟美術ドルドーニュ[川]

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「ラスコー」の解説

ラスコー
Lascaux

オーリニャック文化最末期(ブロイの説)あるいはマドレーヌ文化期に属すといわれる洞窟遺跡。1940年の発見。フランス西南部,ドルドーニュ県モンティニャック町近くにある。長楕円形の主室から奥の天井には,牛,馬,鹿などの絵画が赤,黒,黄色で描かれている。動物は主に側面観で,なかには鳥頭の人物もあり,呪術師ではないかと考えられている。

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