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リバタリアニズム りばたりあにずむlibertarianism

知恵蔵の解説

リバタリアニズム

個人の自由権を絶対的に重視し、それに制約を加える国家の役割を最小限度にとどめようとする自由至上主義の思想。リベラリズムが政府による自由市場への介入と所得の再配分を推進し、社会的平等を重視する福祉国家の制度的基礎を提供したのに対し、1970年代以降の米国において、個人権的自由権を絶対的に擁護する立場から、国家の権力と機能を制限し、「最小国家」の創設を求める思想としてリバタリアニズムが登場してきた。この中には大きく分けて2つの立場が存在している。1つは経済面での国家の関与を批判するもので、代表者として市場経済における選択の自由を擁護するフリードマンを挙げることができる。もう1つは、国家が個人の自由な生き方に介入することを批判する立場である。ロックの自然権の影響のもとで、権利の基底的原理としてリバタリアニズムを採用したノージックは、基本的に自己の身体と財産に対する所有権だけを侵害されてはならない権利とみなす。その結果社会権などは認めない。

(野口勝三 京都精華大学助教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

デジタル大辞泉の解説

リバタリアニズム(libertarianism)

他者の自由を侵害しない限りにおける、各人のあらゆる自由を尊重しようとする思想的立場。自由主義が20世紀以降、個人の社会的自由の達成ために、私企業などの経済的自由の抑制や、福祉などによる富の再分配を是認してきたのに対し、それらをも最小化すべきとする。自由至上主義。完全自由主義
[補説]新自由主義と似るが、これが経済的自由を重視するのに対し、リバタリアニズムはそれだけでなく社会的自由も強調する。権威への不服従や婚姻制度の廃止、銃器・薬物・売春・同性愛の是認などを唱えるため、伝統的保守思想と対立する。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

リバタリアニズム
Libertarianism

福祉国家のはらむ集産主義的傾向(→コレクティビズム)に強い警戒を示し,国家の干渉に対して個人の不可侵の権利を擁護する政治思想。自由至上主義,完全自由主義とも呼ばれる。ロバート・ノージックらが論者として知られる。古典的自由主義と同様,リバタリアニズムも自由市場経済を支持するが,その論拠は自由市場が資源配分の効率性で卓越するということだけではない。より重視されるのは,集産主義的介入が自明の権利である個人の自然権基本的人権を侵害するという点である。リバタリアニズムの出発点は社会の理解に関する徹底的な個人主義的アプローチであり,社会をなんらかの実体ではなく,自律性を権利として保障された諸個人が互いの価値の実現を目指して交流をもつ場として考える。国家や政府による合理的計画よりも自律的な個人の活動のほうが社会的利益を最大化すると考え,また個人の自律性を国家や政府の干渉によって強制的に縮小しようとする試みは,個人の独自性を破壊し,社会の目的のための手段として個人を扱うことになるととらえる。個人の価値の追求には法による制約が課せられるべきだが,法規制の目的は各人の平等な権利を保障することに限定され,国家や政府の役割はそこにあると考える。(→コミュニタリアニズム新自由主義自由放任主義

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