ルミノール

デジタル大辞泉 「ルミノール」の意味・読み・例文・類語

ルミノール(luminol)

化学反応に伴ってルミネセンスを示す代表的な化合物白色固体。このアルカリ性水溶液過酸化水素などで酸化すると、青白く発光する。→ルミネセンス

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精選版 日本国語大辞典 「ルミノール」の意味・読み・例文・類語

ルミノール

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] luminol ) 白色の固体。化学式は C8H7N3O2 アルカリ性で過酸化水素などの酸化剤があると紫青色に発光する。過酸化水素、シアンイオンの定量血痕検出に用いられる。

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化学辞典 第2版 「ルミノール」の解説

ルミノール
ルミノール
luminol

5-amino-2,3-dihydro-1,4-phthalazinedione.C8H7N3O2(177.16).3-アミノフタル酸ヒドラジド(3-aminophthalic hydrazide)ともいう.3-ニトロフタル酸ヒドラジドを硫化アンモニアで還元してつくられる.白色の固体.融点319~320 ℃.水に不溶.強い化学ルミネセンスを示し,アルカリ性溶液中で過酸化水素,オゾン次亜塩素酸塩などで酸化すると,460 nm 付近に吸収極大のある帯状スペクトルをもつ鮮やかな青紫色に発光する.また,過酸化水素による発光は,ヘミンヘモグロビンまたは血液を加えた場合,いちじるしく強くなる.このため,ルミノール発光試薬(luminol test)として血痕の鑑識に利用され,裁判化学上重要である.この反応はきわめて鋭敏で,新鮮な血液よりも日時が経過してヘミンを形成している血痕のほうが強く発光する.このような挙動は,銅などの金属イオンのアンミン錯体にも認められる.すなわち,ルミノールは銅(Ⅱ)アンミン錯体の存在下で過酸化水素の定量試薬に用いられる.ルミノールの化学ルミネセンスの最終生成物は窒素と3-アミノフタル酸であり,化学ルミネセンスは3-アミノフタル酸イオンの蛍光に関連していると考えられる.[CAS 521-31-3]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ルミノール」の意味・わかりやすい解説

ルミノール
るみのーる
luminol

窒素複素環式化合物の一つで、血痕(けっこん)の鑑識に使われるので有名な化合物。3-アミノフタル酸ヒドラジドともいう。

 3-ニトロフタル酸ヒドラジドを硫化水素硫化アンモニウムにより還元すると得られる。白色の固体で、水、エタノールエチルアルコール)、エーテルのいずれにも溶けにくい。血痕の検出に使われるほか、過酸化水素およびシアン化物イオンの分析用試薬としても用いられる。これらの検出反応は、いずれもルミノールのアルカリ溶液を過酸化水素や次亜塩素酸塩で酸化すると、肉眼で鮮明に見える紫青色の発光現象がみられることを応用したものである。

[廣田 穰 2016年11月18日]


ルミノール(データノート)
るみのーるでーたのーと

ルミノール

 分子式 C8H7N3O2
 分子量 177.2
 融点  332~333℃
 沸点  ―

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百科事典マイペディア 「ルミノール」の意味・わかりやすい解説

ルミノール

化学式はC8H7N3O2。3−アミノフタル酸ヒドラジドの別名。白色の結晶。融点319〜320℃。水に不溶。アルカリ性溶液に可溶で,過酸化水素,オゾンなどで酸化すると紫青色に発光する。過酸化水素の定量試薬,血痕(けっこん)の検出試薬(ヘモグロビンが発光反応の触媒となる)として用いられる。(図)→ルミノール試験

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