地球上の存在量が少ないか、技術的な理由で生産が難しく流通量が少ない金属。充電式電池の材料となるニッケルやコバルト、半導体材料のガリウムなどが含まれる。脱炭素に欠かせないが、生産は中国やロシア、アフリカ諸国など特定の国に偏っている。経済安全保障上の懸念から、政府は「特定重要物資」に指定し供給網強化に取り組んでいる。
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埋蔵量が少ない、あるいは技術的、コスト的に取り出すのがむずかしい金属のうち、工業需要のある元素。鉄、アルミニウムなどのベースメタルや金、銀などの貴金属以外で、産業的に利用されている約30種類をさす。明確な定義はないが、経済産業省(鉱業審議会)は31鉱種(リチウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、ガリウム、ゲルマニウム、セレン、ルビジウム、ストロンチウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、インジウム、アンチモン、テルル、セシウム、バリウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、タリウム、ビスマス、レア・アース、白金、パラジウム)をレアメタルと規定している。鉄、アルミニウムなどのベースメタルに添加して耐熱・耐久・耐摩耗性のある合金(ステンレスなど)とするほか、半導体レーザー、発光ダイオード、燃料電池、磁石などの電子・磁性材料、光触媒、形状記憶合金、水素吸蔵合金などの機能性材料として利用される。レアメタルの産地は中国、アフリカ、ロシアなどに偏在しており、新興国の経済成長に伴って、地球規模での争奪戦が激しくなっている。ほとんどのレアメタルが産出量上位3か国で世界の埋蔵量の50~90%を占めており、資源国の国策変更や政情不安で、供給不足に陥る危険があり、アメリカやスイス、スウェーデンでは、第二次世界大戦前からレアメタルの国家備蓄をしている。日本でも、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構法(平成14年法律第94号)に基づき、ニッケル、クロム、タングステンなどを備蓄し、市場価格が高騰した際などには市場へ放出している。
[矢野 武 2021年9月17日]
(徳田昌則 東北大学名誉教授 / 2007年)
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