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ロシア語で用いる文字体系の通称で,現行のアルファベットは母音字母10,子音字母21,記号字母2の合計33字母から成る(表参照)。起源的には9世紀末ブルガリアで成立したキリル文字にさかのぼる。10世紀末キリスト教(正教)の受容とともにキエフ公国に入ったキリル文字は日用の文字体系として定着普及し,16世紀後半には金属活字による印刷もはじまったが,18世紀初頭近代化をめざすピョートル1世は,教会図書をのぞく一般書印刷の促進のために,1音1字の原則で字母数を整理するとともに,新しい字体を選んで〈民間活字〉33字母を制定した。現行のアルファベットはこの民間活字を継承発展させたもので,1918年10月にそれまでの旧正字法を部分的に改めるかたちで成立した。キリル文字は先行したグラゴール文字の多くをギリシア語の活字体大文字で代替して作られたため,現代のロシア文字でも形と音声がギリシア文字に共通するものは19個に及んでいる。同じキリル文字の伝統を継承するウクライナとベラルーシは当然として,ほかにも旧ソ連領内の約50の民族語がロシア文字に基づくアルファベットを使用している。国外ではモンゴルが同様であるが(1980年代末からモンゴル文字の復活がみられる),古来正教圏のブルガリア,セルビア,マケドニアの文字体系との類似は同じキリル文字に発するためで,ロシア文字の直接の影響によるものではない。
→キリル文字 →ロシア語
執筆者:佐藤 純一
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ロシア文字は33の字母からなる。スラブ語本来の文字としては、9世紀にギリシア文字の小文字等を基礎として成立したグラゴル文字と、9世紀末ごろにギリシア文字の大文字等を基礎として成立したキリル文字の2種が存在していた。ロシア文字は後者のキリル文字に由来し、歴史的に幾度かの文字改革を経て今日の形態をとるに至ったものであるが、現在では、ロシア連邦地域内の多数の非スラブ人の言語やモンゴル語の文字としても使用されるようになっている。
[矢野通生]
『西田龍雄編『講座言語 第5巻 世界の文字』(1981・大修館書店)』
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