一進会(読み)イッシンカイ

デジタル大辞泉 「一進会」の意味・読み・例文・類語

いっしん‐かい〔‐クワイ〕【一進会】

朝鮮李朝末期に結成された親日政治団体。1904年、宋秉畯そうへいしゅん尹始炳いんしへいらが創立韓国併合とともに1910年に解散

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精選版 日本国語大辞典 「一進会」の意味・読み・例文・類語

いっしん‐かい‥クヮイ【一進会】

  1. 朝鮮李朝(りちょう)末期の親日政治団体。一九〇四年、尹始炳(いんしへい)宋秉畯(そうへいしゅん)が創立。のち進歩会と合同、「国民新報」を刊行して韓国併合の実現に協力した。一九一〇年解散。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「一進会」の意味・わかりやすい解説

一進会
いっしんかい

朝鮮の李朝(りちょう)末期に日韓合邦運動を展開した団体。合同一進会ともいう。東学の第3代教主孫秉煕(そんへいき/ソンビョンヒ)の指示により、李容九(りようきゅう/イヨング)(1868―1912)が東学の進歩会と宋秉畯(そうへいしゅん/ソンビョンジュン)の一進会とを1904年に合同して結成したもので、会長は李容九。おもな活動は日露戦争時の日本への協力、教育事業、演説会、開拓事業、機関誌の発行など。1905年に乙巳(いっし)保護条約(第二次日韓協約)に賛成宣言をしたことで義兵等の反発を招き、東学への政府の弾圧を恐れた孫秉煕は李容九らを破門した。政府や義兵と対立する大韓協会や西北学会と3派提携を試みたが実現しなかった。1909年、日韓合邦を推進するべく上奏文と請願書を韓国の皇帝と首相、日本の統監に提出し、世論非難を浴びた。翌1910年8月、韓国併合が行われ、他の団体とともに解散させられた。

原田 環]

『金東明著「一進会と日本」(『朝鮮史研究会論文集』31所収・1993・朝鮮史研究会)』『永島広紀著「一進会の活動とその展開」(『年報 朝鮮学』5所収・1995・九州大学朝鮮学研究会)』

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改訂新版 世界大百科事典 「一進会」の意味・わかりやすい解説

一進会 (いっしんかい)

日露戦争中の1904年8月,日本軍通訳をつとめた宋秉畯(へいしゆん)が組織した朝鮮の親日御用団体。最初は開化政策を標榜して尹始炳ら独立協会系の人物を取りこんだが,同年末組織拡大の必要から李容九の率いる東学系結社進歩会を吸収した。翌05年,朝鮮植民地化の動きが本格化するにつれて日本政府および軍の特別の庇護を受け,日本の政策を支持する運動を活発に展開した。さらに一進会は,朝鮮内の反日的な動向を探るスパイ活動や日韓併合に向けての親日世論作りのために利用された。しかしその露骨な親日姿勢は大衆反感を買い,反日気運を高める結果をもたらした。しかも会の実体は会長李容九や宋秉畯などの利権集団でしかなく,当局からも煙たがられたが,朝鮮内にも日韓併合支持勢力があるという宣伝効果を得るためにその存在が許された。日韓併合が実現すると解散させられた。
日韓併合
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「一進会」の意味・わかりやすい解説

一進会
いっしんかい
Ilchinhoe

朝鮮,朝鮮王朝 (李朝) 末期の親日政党。実質会員 10万といわれる。光武8 (1904) 年8月,宋秉しゅん (そうへいしゅん) とかつて独立協会のメンバーであった尹始炳 (いんしへい) ,兪鶴柱 (ゆかくちゅう) らが結成した。綱領として,王室尊重,人民の生命財産保護,施政改善,軍事,財政の整理などを掲げた。しかし,地方組織がなかったので,12月東学党の残存勢力を糾合して李容九 (りようきゅう) らが組織した進歩会と統合,李容九を会長とした。日本から巨額の政治資金を受け,日本人を顧問にして,機関紙『国民新報』を通じて親日的風潮をあおった。一方,京義線鉄道敷設のための労役提供,乙未 (いつみ) 条約締結支持,高宗譲位強要,隆煕皇帝 (純宗) への日韓併合案を上奏するなど,国民から激しい非難を浴びながら,日本の政策の先取りに努めた。 1910年8月,日韓併合が行われたので,同年9月解散した。

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世界大百科事典(旧版)内の一進会の言及

【李容九】より

…貧農の出で苦節して東学の幹部になったが,1894年甲午農民戦争時の責を問われて逮捕される。出獄後,朝鮮民族を危機から救うために日本と提携する必要を説き,進歩会をひきいて1904年一進会に合流,翌年同会会長となる。以後は一貫して日韓合邦論を提唱,《韓日合邦建議書》を国王や要路の人物に提出することもした。…

※「一進会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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