三陸沖地震(読み)サンリクオキジシン

デジタル大辞泉 「三陸沖地震」の意味・読み・例文・類語

さんりくおき‐じしん〔‐ヂシン〕【三陸沖地震】

三陸海岸沖を震源地とする大地震リアス式海岸のため津波による被害が大きく、明治29年(1896)6月15日のものでは死者2万人以上、昭和8年(1933)3月3日のものでは死者3000人以上、平成23年(2011)3月11日東北地方太平洋沖地震では死者・行方不明者約1万9000人とされる。

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精選版 日本国語大辞典 「三陸沖地震」の意味・読み・例文・類語

さんりくおき‐じしん‥ヂシン【三陸沖地震】

  1. 〘 名詞 〙 三陸沖を震源地とする地震。津波による被害が多く、明治二九年(一八九六)六月一五日には波高二四メートル余の大津波が来襲し死傷者三万六千余名、昭和八年(一九三三)三月三日にも死傷者四千名以上の大被害があった。

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百科事典マイペディア 「三陸沖地震」の意味・わかりやすい解説

三陸沖地震【さんりくおきじしん】

岩手県沿岸三陸地方東方沖の日本海溝付近は外側地震帯にあたり,昔から大規模な地震が多く,震央海中にあるのと,海岸凹凸が多く津波の被害の大きいのが特色。古くは869年(貞観11年),1611年(慶長16年)の両年が大きく,また1677年(延宝5年),1836年(天保7年),1856年(安政3年)の各年の地震にも大津波を伴った。明治以降では1896年6月15日(全半壊流失家屋1万617,死者2万7122人,津波の高さ岩手県綾里(りょうり)湾で30m),1933年3月3日(家屋損失9000,死者2986,津波の高さ綾里湾で24m)の三陸沖地震があった。2011年3月11日14時46分頃,牡鹿半島沖東南約130km深さ24kmでマグニチュード9.0という超巨大地震が発生,さらに,15時9分頃岩手県沖でマグニチュード7.4,15時16分頃茨城県沖でマグニチュード7.7と巨大地震が連続的に発生,東日本大震災を引き起こした。一連の地震は東北地方太平洋沖地震と呼ばれ,三陸沖を中心とする,岩手県沖から茨城県沖まで,幅200km長さ500kmに及ぶ広大な震源域を持つものである。三陸地方をはじめとして各地に大津波が襲い,各地の市町村が壊滅的な打撃を受けた。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「三陸沖地震」の意味・わかりやすい解説

三陸沖地震
さんりくおきじしん

青森、岩手両県の太平洋岸、三陸沖に発生する地震。沿岸から約200キロメートル沖の日本海溝沿いに発生するので、陸上での震度はV以下と弱いが、地震後約30分から1時間で、北海道から東北、関東地方沿岸を襲う大津波が発生している。過去のおもな大地震は以下のとおりである。


●三陸沖のおもな巨大地震
(1)発生年月日 1793年(寛政5)2月17日
 規模(M) 8.2
 断層型 逆断層?
 死者(人) 12か13
(2)発生年月日 1896年(明治29)6月15日
 規模(M) 8.5*
 断層型 逆断層
 死者(人) 21,959
(3)発生年月日 1933年(昭和8)3月3日
 規模(M) 8.1
 断層型 正断層
 死者(人) 3,008
(注:*については6.8説も有力。規模のMはマグニチュード。『理科年表』(1986)等による)

 三陸地方のリアス海岸ではとくに波高が高くなり、上記の(2)の地震での最高波高は30メートルを超えた。(1)と(2)では余震が多く、(3)では少なかった。(1)による死者数は少なかったが、(2)、(3)ではともに甚大な死者を出した。この地震では三陸沿岸は相次いで津波に襲われるので、防潮堤を築いたり、集落を高地に移動させたり、対策を講じている。津波は太平洋を横切って、約6時間後に遠くハワイまで達し、さらに北アメリカ沿岸、チリ沿岸などにまで達している。

[宇佐美龍夫]

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改訂新版 世界大百科事典 「三陸沖地震」の意味・わかりやすい解説

三陸沖地震 (さんりくおきじしん)

岩手県東方沖の日本海溝付近では,巨大な地震が起こり,三陸沿岸に大津波をもたらすことがある。明治以後では,表に示す1896年と1933年の地震が著しかった。津波の高さは前者がややまさったが,地震動は後者がはるかに強かった。前者は規模の割りに地震動が弱い特異な地震であり,地震の原因である断層の運動が通常の地震よりも遅い速度で進行したものと考えられている。津波の被害が大きい原因は,地震の規模もさることながら,三陸沿岸のリアス式の海岸地形が,湾奥での津波の高さを著しく増大させるからである。1896年の地震は日本史上最大の津波被害を出し,三陸沿岸では住民の半数以上が死亡した町村も少なくない(死者対人口比は釜石4700/6557,田老2655/3747,唐丹2100/2807,綾里1458/2803,船越1327/2295)。両地震とも津波は地震の約30分後に三陸沿岸に来襲したが,ハワイにも約6時間後に到達し,被害を生じている。
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