上屋(読み)ウワヤ(その他表記)shed

翻訳|shed

デジタル大辞泉 「上屋」の意味・読み・例文・類語

うわ‐や〔うは‐〕【上屋/上家】

建築現場などに設けた仮屋根素屋根すやね
駅や埠頭ふとうなどで、旅客または貨物雨露から防ぐために設けた、柱に屋根をかけただけの建物
保税上屋ほぜいうわや」のこと。
霊屋たまや」に同じ。

うえ‐や〔うへ‐〕【上屋】

宮中で、天皇御座所近くにある女官詰め所
「ゆゆしさに―に隠れ伏しぬ」〈八一

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精選版 日本国語大辞典 「上屋」の意味・読み・例文・類語

うわ‐やうは‥【上屋】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 柱に屋根をつけただけの吹き抜けの建物。停車場波止場、工事場などに造る。
    1. [初出の実例]「長い上屋(ウハヤ)の影を向ふへ、三四町通り越た所に」(出典:満韓ところどころ(1909)〈夏目漱石〉二〇)
  3. 税関構内で、陸揚げした貨物あるいは船積みする貨物を一時格納しておく倉庫
    1. [初出の実例]「生糸競売は去十一日仮に税関輸出上屋の方隅を借受けて開場せしが」(出典:郵便報知新聞‐明治一四年(1881)一一月一四日)
  4. 墓の上に置く模造屋形。霊屋(たまや)

うえ‐やうへ‥【上屋】

  1. 〘 名詞 〙 禁中清涼殿の上戸(かみのと)に近い女官の詰め所。
    1. [初出の実例]「これ見よかしとおほせらるれど、〈略〉ゆゆしさにうへやに隠れふしぬ」(出典:春曙抄本枕(10C終)七〇)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「上屋」の意味・わかりやすい解説

上屋
うわや
shed

埠頭(ふとう)・桟橋・駅の構内などの貨物発着所に設けられている、荷さばき・中継ぎ作業などを行うため一時保管または通関業務に使用される施設をさす。上屋には、輸出入貨物の船積み・陸揚げをする埠頭上にある埠頭上屋quay shed, pier shedと、関税法上の許可を受け、外国貨物の積卸し、運搬または一時蔵置ができる場所として設けられている保税上屋bonded shedとがあり、その蔵置期間はいずれも1か月以内である。

[鳥谷剛三]

保税倉庫

なお、保税上屋とは別に、外国貨物を輸入手続をすることなく、長期(期限は2年)にわたって蔵置できる場所として、税関長の許可を得て設けられている保税倉庫bonded warehouseがある。保税倉庫には自家用と営業用の2種類がある。

[鳥谷剛三]

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百科事典マイペディア 「上屋」の意味・わかりやすい解説

上屋【うわや】

港湾の荷さばき用倉庫。保管をおもな目的とする倉庫とは区別される。港湾管理者の公共施設のほか,通運会社などのものもある。保税上屋は保税地域の一種で,税関手続の便宜のため外国貨物の積卸し,運搬または一時的蔵置を行う場所として税関長が許可したものである。なお,陸揚げ,保税倉庫搬入までにかかる費用が貨物の売主の負担となる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「上屋」の意味・わかりやすい解説

上屋
うわや
shed

船と倉庫との間の荷さばきの中継作業が行われる施設。埠頭で船舶が接岸係留する場所に近いところに設けられ,荷さばきのほかに乗降船客の待合室にも利用される。港湾上屋は,港湾運送上なくてはならない施設であり,公営施設や民営施設,第三セクター施設などと運営形態はさまざまである。通産省の輸入促進政策に応じて地方の港湾上屋の整備が進みつつある。

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世界大百科事典(旧版)内の上屋の言及

【貿易】より

…商業送状のほか,輸入国における脱税防止やダンピング阻止のため,輸出国駐在の輸入国領事が内容を証明する〈領事送状consular invoice〉や輸出業者が輸入国の税関のために作成する〈税関送状customs invoice〉などの〈公用送状official invoice〉がある。 上屋(うわや)shed運送途中の貨物を短期間保管する仮置場のこと。たとえば保税上屋は,関税の徴収を一時留保された輸入貨物を搬出入し,または一時的に蔵置きするための上屋をいう。…

※「上屋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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