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上総掘り かずさぼり

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

上総掘り

君津市の小糸、小櫃川流域発祥の井戸掘り技術。直径10センチほどの穴に壁面崩落を防ぐ粘土水を注ぎながら丸太組みのやぐらから割り竹でつないだ鉄管を突き落とし、管の中の泥をかきだしながら掘り下げる。人力だけで数百メートルの深井戸を掘れる世界に類のない技術。

(2010-05-19 朝日新聞 朝刊 千葉全県 2地方)

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デジタル大辞泉の解説

かずさ‐ぼり〔かづさ‐〕【総掘り】

掘り抜き井戸の代表的な工法。やぐらを組んで大きい車を仕掛け、これに割り竹を長くつないだものを巻いておき、その竹の先端に取り付けた掘鉄管で掘り抜く。古くから上総地方を中心に行われた。

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百科事典マイペディアの解説

上総掘り【かずさぼり】

古く上総地方で用いられていた水井戸掘りの工法。割竹を長く連接した〈へね〉を大きな木製の〈へね車〉でつり下げ,先に錐(きり)をつけ,地上に固定した〈弓竹〉の弾力を利用しながら2〜3人で錐を上下させ衝撃力で掘削する。
→関連項目井戸中間技術

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世界大百科事典 第2版の解説

かずさぼり【上総掘り】

古くから千葉県の上総地方において水井戸を掘るために用いられていた方法。1892年以来,新潟県および秋田県の浅い石油井の掘削に用いられ,昭和20年代でもまれに用いられた。最も簡単な衝撃式装置であり,人力のみにより動かすことができる(図)。竹を割って作った〈へね竹〉の先に掘鉄管とビット(〈かぶら〉ともいう。岩石を砕く道具)を付けて坑井に降下する。へね竹の上端には掘綱(麻綱)が付けられている。掘綱はモウソウチク数本をたばねた弓竹に結ばれ,他端は垂れ下がっている。

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大辞林 第三版の解説

かずさぼり【上総掘り】

古く上総国で起こった井戸の掘削法。竹を束ねた槓桿こうかんの弾力を利用して割竹製の錐きりで掘る。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

上総掘り
かずさぼり

千葉県上総地方で古くより行われていた水井戸を掘る掘削法。地表装置としては木製櫓(やぐら)とヒネ車がある。櫓の上部にはモウソウチク数本を束ね、その根本を固定し、その末端が坑口に臨むようにする。これを弓竹という。地層を掘削する器具を掘鉄管といい、パイプの先端に岩石を砕く刃を接着し、その上に上方に開く弁が取り付けてある。掘鉄管はヒネ竹で地表より吊(つ)り下げられる。ヒネ竹は竹を裂き、幅3センチメートルぐらいに削ったものを鉄の輪と楔(くさび)で長く継ぎ合わせたものである。ヒネ竹はモウソウチクを束ねた弓竹の末端と掘綱で結ばれている。掘綱を人力で引き下げれば、掘鉄管は地層を破砕し、力を緩めれば掘鉄管は跳ね上がる。掘鉄管のパイプ中に岩石の破片がいっぱいになれば掘鉄管を引き上げる。引き上げにはヒネ車を用いる。ヒネ車に人が数名入り、車を回してヒネ竹を巻き付ける。井戸に岩石破片が残っているときはスイコー(吸子)という、パイプの下端に弁をつけたものを降ろし、岩石破片を回収する。
 1893年(明治26)に新潟県新津(にいつ)油田の石油井掘削に用いられ、以後鉄管の昇降装置などに種々改良がなされた。1935年(昭和10)秋田県八橋(やばせ)油田で上総掘りで掘った坑井が深度203メートルで油層にあたり、大噴油をおこし、日本最大の油田である八橋油田発見の端緒となった。現在は上総掘りはほとんど使用されていない。[田中正三]

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