不稔性(読み)フネンセイ

デジタル大辞泉 「不稔性」の意味・読み・例文・類語

ふねん‐せい【不×稔性】

植物種子を生じない現象生殖細胞形成から受精まで、および受精卵が発育して種子となるまでの過程に異常のある場合にいう。

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精選版 日本国語大辞典 「不稔性」の意味・読み・例文・類語

ふねん‐せい【不稔性】

  1. 〘 名詞 〙 次の世代の植物として発達しうる種子を生じないこと。一般に生殖細胞の形成から受精まで、および、受精卵が発育して種子となるまでの過程に異常のある場合をいう。動物では不妊性という。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「不稔性」の意味・わかりやすい解説

不稔性
ふねんせい

稔性に対する語で、高等植物の花が受精しても発芽・生育するような種子をつくらないことをいう。不稔性は、広い意味では、花をつけない場合や受粉の前に花が落ちる場合、あるいは、種子が発芽しなかったり、発芽しても生育しない場合も含められるが、狭義では、生殖細胞の形成から受精を経て種子ができるまでの過程が正常に進行しない場合をいう。

 雌雄の生殖細胞のいずれかに欠陥があるときは、ごく普通にみられるが、生殖細胞そのものは正常であっても不稔性になることがあり、このような場合は不和合性とよばれる。これは、その植物自体、あるいは特定系統の間で交雑した場合にだけ受精不能となるものである。植物の三倍体、五倍体のような奇数倍数体ではほとんどが不稔性を示す。

吉田精一

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百科事典マイペディア 「不稔性」の意味・わかりやすい解説

不稔性【ふねんせい】

植物において種子が形成されないか,できてもその種子が成体へ発生する能力をもたないこと。生殖器官の異常によるもの,花粉胚珠,胚や胚乳などの形成異常によるもの,また配偶子は普通には受精可能だが,自殖あるいは特定の系統間の交雑の場合のみ不稔性になるもの(不和合性)などがある。動物における同様の現象については,不妊性と呼んで区別されることが多い。
→関連項目隔離(生物)受粉

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「不稔性」の意味・わかりやすい解説

不稔性
ふねんせい
sterility

不実性ともいう。植物で,正常に発育する胚をもつ種子が生じないこと。厳密には生殖細胞形成から受精が完全に行われるまでに,なんらかの原因によって起る現象をいうが,広義にはほかの原因による発達不能や,葉緑素を欠く個体で発育できないようなものをも含めていう。動物においては通常不妊性という。生殖細胞の形成不全や,受精の障害のために子を生じない現象にこの語をあてることもある。

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改訂新版 世界大百科事典 「不稔性」の意味・わかりやすい解説

不稔性 (ふねんせい)

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世界大百科事典(旧版)内の不稔性の言及

【稔性】より

…ふつうは植物についていうことが多い。何らかの原因によって稔性が阻害され,次代の植物が育たない現象を総称して不稔性sterilityという。不稔となるのにはいろいろの様式があるが,形態的不稔性(生殖器官に発達異常がみられるもの),発生的不稔性(胚囊や花粉管など配偶体世代に相当する部分に異常のみられるもの,胚や胚乳の形成が異常なものなど),不和合性(花粉も胚囊も完全に機能しているのに特定系統間で交雑を行ったときには受精不能であるもの)などが区別されることもあり,広義には,環境条件によって花をつけなかったり早く落花したり,または種子が発芽できなかったりする場合も含めて不稔ということがある。…

※「不稔性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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