稔性に対する語で、高等植物の花が受精しても発芽・生育するような種子をつくらないことをいう。不稔性は、広い意味では、花をつけない場合や受粉の前に花が落ちる場合、あるいは、種子が発芽しなかったり、発芽しても生育しない場合も含められるが、狭義では、生殖細胞の形成から受精を経て種子ができるまでの過程が正常に進行しない場合をいう。
雌雄の生殖細胞のいずれかに欠陥があるときは、ごく普通にみられるが、生殖細胞そのものは正常であっても不稔性になることがあり、このような場合は不和合性とよばれる。これは、その植物自体、あるいは特定の系統の間で交雑した場合にだけ受精不能となるものである。植物の三倍体、五倍体のような奇数倍数体ではほとんどが不稔性を示す。
[吉田精一]
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…ふつうは植物についていうことが多い。何らかの原因によって稔性が阻害され,次代の植物が育たない現象を総称して不稔性sterilityという。不稔となるのにはいろいろの様式があるが,形態的不稔性(生殖器官に発達異常がみられるもの),発生的不稔性(胚囊や花粉管など配偶体世代に相当する部分に異常のみられるもの,胚や胚乳の形成が異常なものなど),不和合性(花粉も胚囊も完全に機能しているのに特定系統間で交雑を行ったときには受精不能であるもの)などが区別されることもあり,広義には,環境条件によって花をつけなかったり早く落花したり,または種子が発芽できなかったりする場合も含めて不稔ということがある。…
※「不稔性」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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