中宮温泉(読み)ちゆうぐうおんせん

日本歴史地名大系 「中宮温泉」の解説

中宮温泉
ちゆうぐうおんせん

[現在地名]吉野谷村中宮

中宮集落の東方山中、湯谷頭ゆのたにがしら(標高一五四九・四メートル)北西麓の湯谷(薬師谷)沿いに湧出する。泉質は食塩含有炭酸鉄泉、泉温摂氏約六〇度。効能は加州産物帳(加越能文庫)に「切疵・頭痛・疝気其外諸事痛に宜」とあり、明治六年(一八七三)の県令への答申(岡部文書)加賀の温泉六ヵ所の一つに数え、「泉質硫黄ヲ混ジ、疝癪瘤飲ニ宜シ」とある。泰澄発見の伝承があり、鳩谷はとだにの湯の別称がある(前掲産物帳など)。宝永三年(一七〇六)の吉野村甚七書上(改作所旧記)によれば、先年の支配は尾添おぞう(現尾口村)であったが、寛文八年(一六六八)同村が幕府直轄領となった際、中宮村に変更。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「中宮温泉」の意味・わかりやすい解説

中宮温泉
ちゅうぐうおんせん

石川県南部,白山北麓にある温泉。白山市に属する。標高 660m。白山を開山した奈良時代の僧,泰澄が開湯したと伝わる。手取川水系の尾添川(おぞうがわ)の支流,蛇谷川がつくる狭い谷間に温泉宿がある。泉質はナトリウム-塩化物炭酸水素塩泉。泉温は 50~60℃。胃腸の病に効能があることで知られ,飲用にもなる。また神経痛や婦人病などにもきくといわれる。岐阜県の白川郷を結ぶ白山白川郷ホワイトロードが通っているため,観光客も多く,国民保養温泉地に指定されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「中宮温泉」の意味・わかりやすい解説

中宮温泉
ちゅうぐうおんせん

石川県南東部、白山市(はくさんし)中宮にあり、白山温泉郷国民保養温泉地の一つ。白山の北麓(ほくろく)、尾添(おぞう)川源流の谷間に位置する。白山を開いた泰澄(たいちょう)の開湯と伝えられ、湯治場的な雰囲気を残す。泉質は硫酸塩泉塩化物泉。付近には姥(うば)ヶ滝などがあり、新緑紅葉が美しい。白山白川郷ホワイトロードが通じ、金沢市からのバスの便もあるが冬は雪のため閉鎖

[矢ヶ崎孝雄]

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