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浮世絵版画の筆彩色の様式名。墨摺絵(すみずりえ)に、丹(に)(あかい色)を主調に黄土なども用いて筆彩色したもの。浮世絵版画のごく初期、1680年(延宝8)ごろからみられるが、最盛期は1690年(元禄3)ごろから約30年間である。杉村治兵衛(じへえ)、鳥居清信(きよのぶ)、鳥居清倍(きよます)、奥村政信(まさのぶ)や懐月堂(かいげつどう)派の絵師に遺品が多く、とくに清倍、政信の1710年代の作品にその典型をみることができる。大まかに潤沢に置かれた丹の深みのある発色は、初期版画の単純にして雄強な描線とみごとに調和し、芸術性は高い。1720年(享保5)ごろになると、主色の丹を紅(べに)にかえた紅絵に移行する。
[浅野秀剛]
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…横長の画面でしかも十数枚の組物という形式に,なお木版絵本のころの名残を濃厚にとどめながら出発した浮世絵版画は,師宣最晩年の元禄年間(1688‐1704),彼とほぼ同世代の杉村治兵衛や後進の鳥居清信,清倍(きよます)らによって,一枚の版画単独で表現を完結する〈一枚絵〉が成立させられる。
[丹絵]
一枚絵の独立とともに起こった形式上の変化は,サイズの大型化とそれにともなう描線と彩色の強化である。版画表現の充実が期待されて,標準の判型は美濃紙大判の全紙にさらに若干(全紙の1/3~1/6)を貼り継いだ大々判(約30~33cm×55~65cm)にまで拡大された。…
※「丹絵」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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