(読み)キュウ

デジタル大辞泉 「九」の意味・読み・例文・類語

きゅう【九】[漢字項目]

[音]キュウ(キウ)(漢) (呉) [訓]ここの ここのつ
学習漢字]1年
〈キュウ〉
数の名。ここのつ。「九回九経九卿きゅうけい重九ちょうきゅう
数の多いこと。「九重きゅうちょう・九死一生/三拝九拝
〈ク〉に同じ。「九月九九くく九分九厘三三九度
〈ここの〉「九重九日
[名のり]かず・ただ・ちか・ちかし・ひさ
[難読]九年母くねんぼ九十ここのそじ九十九髪つくもがみ九十九折つづらお

きゅう〔キウ〕【九】

数の名。8の次、10の前の数。ここのつ。く。
9番目。第9。
[補説]金銭証書などで、間違いを防ぐために「玖」を用いることがある。
[類語]じゅうゼロ一つ二つ三つ四つ五つ六つ七つ八つ九つとお

ここの【九】

く。きゅう。ここのつ。数をかぞえるときの語。この。「なな、や、ここの、とお」
く。きゅう。ここのつ。多く、名詞の上に付けて用いる。「ここの月」
「はしきやしおきなの歌におほほしき―の児らやかまけてらむ」〈・三七九四〉

く【九/久/丘/究/宮】[漢字項目]

〈九〉⇒きゅう
〈久〉⇒きゅう
〈丘〉⇒きゅう
〈究〉⇒きゅう
〈宮〉⇒きゅう

ここ【九】

ここのつ。数を「…」と数えるときに用いる。ここの。

この【九】

《「ここの(九)」の略》ここのつ。きゅう。数をかぞえるときにいう。「なな、や、この、とお」

く【九/×玖】

数の名。8の次、10の前の数。ここのつ。きゅう。
9番目。第9。

チュー【九】

《〈中国語〉》数字の、9。九つ。

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精選版 日本国語大辞典 「九」の意味・読み・例文・類語

ここの【九】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 九つ。名詞・助数詞の前に直接付けて用いる。
    1. [初出の実例]「新治 筑波を過ぎて 幾夜か寝つる 日日(かが)並べて 夜には許許能(ココノ)夜 日には十日を」(出典:古事記(712)中・歌謡)
    2. 「月日へて、子うむべきほどになるまで見しらでゐたるに、ここの月といふに」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
  3. 九人。助詞「の」を介して名詞を修飾する。
    1. [初出の実例]「はしきやし 翁の歌に おほほしき 九(ここの)児等哉 感(かま)けて居らむ」(出典:万葉集(8C後)一六・三七九四)
  4. 物の数を、声に出して順に唱えながら数えるときの九。この。ここ。こう。
    1. [初出の実例]「一(ひと)(ふた)(み)(よ)(いつ)(むゆ)(なな)(や)ここの十(たりや)」(出典:年中行事秘抄(12C末)鎮魂祭歌)

く【九・玖】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 数の名。ここのつ。八の次の数。きゅう。
    1. [初出の実例]「油壱両玖銭捌分」(出典:参天台五台山記(1072‐73)五)
    2. 「汝、常に我等九人に依て世に有つる人也」(出典:今昔物語集(1120頃か)一)
  3. 第九番目。
    1. [初出の実例]「九・十月もおなじさまにてすぐすめり」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
    2. 「この九の君はすぐれて見え給へば」(出典:宇津保物語(970‐999頃)嵯峨院)

かい【九】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「九」の唐宋音から ) 拳(けん)で、ここのつをいう語。きわ。
    1. [初出の実例]「真(ほんとう)の拳(けん)と云ふ物は〈略〉七(ちい)(ぱま)(クヮイ)といふものだっサ」(出典:滑稽本浮世風呂(1809‐13)三)

きゅうキウ【九】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ここのつ。く。玖(きゅう)。〔史記‐騶衍伝〕
  3. ( 「究」に通じる ) 数のきわまり。数の最上位。また、きわめて数の多いことをいう。〔列子‐天瑞〕
  4. 易で陽の数。六を陰とするのに対していう。〔易経‐乾卦〕

この【九】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ここの」の変化した語 ) 物の数を、声に出して順に唱えながら数えるときの九。ここ。こう。
    1. [初出の実例]「なすびうりこのこのこのが仕廻なり」(出典:雑俳・柳多留‐九(1774))

ここ【九】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「ここの」の変化した語 ) 物の数を声に出して順に唱えながら数えるときの九。この。こう。〔口語法別記(1917)〕

チュー【九】

  1. 〘 名詞 〙 「九」の中国音。く。きゅう。ここのつ。

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普及版 字通 「九」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 2画

[字音] キュウ(キウ)・ク
[字訓] ここのつ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
竜蛇の形。竜蛇に虫形と九形とあり、九は岐頭の形でおそらく雌竜。虫と九と組み合わせた形は禹。九州の水土を治めたとされる神である。〔説文〕十四下に「陽の變なり。其の屈曲し、究盡するの形に象る」とする。七は陽の正、九は陽の変。ゆえに〔易〕の陽爻を初九・九二・上九のようにいう。数の九に用いる。

[訓義]
1. 竜の形、と関係がある。
2. ここのつ、究極の数。〔周易〕では陽数に用いる。
3. 糾と通じ、あわせる。
4. 久と通じ、老熟のもの。
5. ・鳩と通じ、あつまる。

[古辞書の訓]
名義抄〕九 ココノツ・ココノトコロ・キヨシ・アツマル 〔字鏡集〕九 マタ・ココノツ・クハシ・アツマル・ココノトコロ・チカシ・アマタ・キヨシ

[部首]
〔説文〕に馗を属し、「九なり。龜背に似たり。故に之れを馗と謂ふ。馗は高なり。九に從ひ、首に從ふ」と会意とする。字形によって解すると、もと竜の意であるらしく、虫(き)・(き)と関係のある語であろう。部首としては(じゆう)部の禽・(万)・禹などの七字、また旬も卜文の形は九に従う。みな竜を示す形である。

[声系]
〔説文〕に九声として・鳩・・旭・・究・仇・尻・軌・など十六字を収めるが、は会意。竜の屈曲する形を用いるもののほかはみな形声。鳩・はその鳴く声、(いびき)は鼾の声をいう。

[語系]
九kiu、gyu、(糾)・樛kyuは声近く、みな糾纏の意がある。声符としての九・・求・には、声義の通ずるものが多い。〔詩、周南、関雎〕の「好逑」は、また「好仇」に作る。

[熟語]
九夷・九域・九一・九烏・九・九嬰・九淵・九歌・九花・九河・九家・九・九街・九九逵九畿・九軌・九旗九竅・九曲九衢・九刑・九献・九原・九五九皋・九合九穀・九・九死・九字・九寺・九日・九州・九春・九暑・九如・九九霄九壌・九親九仞・九成・九錫・九折・九泉・九・九層・九族・九達・九丹九疇・九重・九鼎・九天・九塗・九土・九冬・九・九拝九伯・九陌・九尾・九・九品・九嬪・九旻・九服・九弁・九命・九訳・九有・九囿・九幽・九・九游・九曜・九・九洛・九流・九・九黎・九牢・九老・九九
[下接語]
初九・天九・用九・陽九

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