精選版 日本国語大辞典「九」の解説
ここの【九】
〘名〙
※古事記(712)中・歌謡「新治 筑波を過ぎて 幾夜か寝つる 日日(かが)並べて 夜には許許能(ココノ)夜 日には十日を」
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「月日へて、子うむべきほどになるまで見しらでゐたるに、ここの月といふに」
② 九人。助詞「の」を介して名詞を修飾する。
※万葉(8C後)一六・三七九四「はしきやし 翁の歌に おほほしき 九(ここの)児等哉 感(かま)けて居らむ」
③ 物の数を、声に出して順に唱えながら数えるときの九。この。ここ。こう。
※年中行事秘抄(12C末)鎮魂祭歌「一(ひと)二(ふた)三(み)四(よ)五(いつ)六(むゆ)七(なな)八(や)ここの十(たりや)」
きゅう キウ【九】
〘名〙
① ここのつ。く。玖(きゅう)。〔史記‐騶衍伝〕
② (「究」に通じる) 数のきわまり。数の最上位。また、きわめて数の多いことをいう。〔列子‐天瑞〕
③ 易で陽の数。六を陰とするのに対していう。〔易経‐乾卦〕
かい【九】
〘名〙 (「九」の唐宋音から) 拳(けん)で、ここのつをいう語。きわ。
※滑稽本・浮世風呂(1809‐13)三「真(ほんとう)の拳(けん)と云ふ物は〈略〉七(ちゑい)八(ぱま)九(クヮイ)といふものだっサ」
この【九】
〘名〙 (「ここの」の変化した語) 物の数を、声に出して順に唱えながら数えるときの九。ここ。こう。
※雑俳・柳多留‐九(1774)「なすびうりこのこのこのが仕廻なり」
ここ【九】
〘名〙 (「ここの」の変化した語) 物の数を声に出して順に唱えながら数えるときの九。この。こう。〔口語法別記(1917)〕
チュー【九】
〘名〙 「九」の中国音。く。きゅう。ここのつ。
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