二十三夜(読み)ニジュウサンヤ

デジタル大辞泉 「二十三夜」の意味・読み・例文・類語

にじゅうさん‐や〔ニジフサン‐〕【二十三夜】

陰暦で23日の夜。また、その夜の月待行事 秋》

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精選版 日本国語大辞典 「二十三夜」の意味・読み・例文・類語

にじゅうさん‐やニジフ‥【二十三夜】

  1. 〘 名詞 〙 陰暦で二三日の夜。また、その夜の月待行事。二十三夜の月は、真夜中になってのぼる下弦の月。講単位で宿に集まり、念仏を唱えたり飲食したりしながら月の出を待ち、月を拝んで解散する。また、この日は鍼灸や初めての服薬を忌んだ。《 季語・秋 》
    1. [初出の実例]「やのむねに一尺二寸のあしたをはき、三斗三升いりのおけに、みづをいれいただいて、二十三やの月をこそはおまちある」(出典:説経節・説経苅萱(1631)中)

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改訂新版 世界大百科事典 「二十三夜」の意味・わかりやすい解説

二十三夜 (にじゅうさんや)

旧暦23日の夜,すなわち二十三夜に講員が宿に集まって飲食をともにしながら月の出を待つことをいう。三夜様とも三夜供養ともいい,月待行事のなかでも最も盛んに行われた。月待のマチは,神のかたわらに待座する意味らしく,この夜には神の示現があると信じられていた。講は,村の小字,村全体,任意の者などを単位としていたが,女性,とくに嫁仲間で結成されることが多い。地方によっては,二十二夜を女性,二十三夜を男性の集りとする所もある。1,5,9,11月が重んじられ,とくに霜月(11月)の二十三夜は大師講の名で知られ,タイシと呼ばれる神の来訪を説いたりすることから,新嘗の忌籠りとの関連が推定されている。かつては,下弦の月の日に,月そのものを神聖視する行事があったと考えられ,講員は当日は肥を扱わないとか身体を清めて新しい着物にかえてくるとか精進潔斎が要求され,この夜身ごもると不具の子が生まれるという伝承もある。現在では,床の間勢至菩薩,阿弥陀三尊,月太子,月光菩薩,月読(つくよみ)命などの掛軸をかけ,灯明をつけて豆腐おはぎなどを供えて月の出を待ち,月を拝んで安産祈願をしたりする。この日の月は,三体菩薩として現れるともいう。村々に残る二十三夜塔は,講員が建てた記念碑で,大半江戸時代のものである。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「二十三夜」の意味・わかりやすい解説

二十三夜
にじゅうさんや

旧暦23日の月待(つきまち)行事の一つで、全国に広く行われている。毎月行っている所もあるが、いちばん多いのは1、5、9月の3回に行っている例である。11月23日は大師(だいし)講の日なので、この日も広く行われている。土地によっては二十三夜は男だけで、女は二十二夜にしている所もある。二十三夜の月は出が遅いので、当番の家に集まって簡単な酒肴(しゅこう)を前によもやま話をして待つ。二十三夜講をつくっている所では二十三夜塔という記念碑を立てている例もある。二十三夜の月のさまを見てその年の作物の豊凶を占っている土地もある。

[大藤時彦]

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世界大百科事典(旧版)内の二十三夜の言及

【月待】より

…定まった月齢の夜に,月の出を待ってこれをまつる行事。三日月待,十六夜待,十七夜待,十九夜待,二十二夜待,二十三夜待,二十六夜待などあるが,このうち二十三夜待がもっとも古く,16世紀ごろに京都の公家社会では行われていた。正月,5月,9月の月待が重視され,その夜は家の主人は斎戒沐浴して,翌朝まで起きているのが本来であった。…

※「二十三夜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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