朝日日本歴史人物事典 「井上八千代(3代)」の解説
井上八千代(3代)
生年:天保9.2.1(1838.2.24)
文化文政期(1804~1830)に礎が築かれた京舞井上流の3代目家元。大坂住吉の社家吉住彦兵衛の次女。観世流能楽師片山晋三の妻。本名片山春子。幼少のころ町の師匠に舞の手ほどきを受け,12,3歳ごろ井上流に入門。能や人形浄瑠璃の型を取り入れた直線的な舞を磨き上げ,その芸風は晩年まで本名で通すほどの厳格な性格を反映していた。井上流を京都の祇園に根付かせ,明治5(1872)年,「都をどり」を創始した。100歳で矍鑠たる舞を舞い,翌年大往生を遂げるが,のちに4代目となる片山愛子への厳しい稽古ぶりなど,並々ならぬ女傑ぶりを偲ばせる逸話は数多い。<参考文献>片山博道「京舞井上流のことゞも」(『上方』52号)
(丸茂祐佳)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報