仁王(金剛力士像)(読み)におう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「仁王(金剛力士像)」の意味・わかりやすい解説

仁王(金剛力士像)
におう

仏法を守護する神として、寺門などに左右一対(いっつい)で安置された金剛力士(こんごうりきし)の像をいう。二王とも書く。執金剛神(しゅうこんごうしん)と同じ神格で、中国の唐代から一対形式になったと考えられる。その形像は、ともに赤色の身に朱目の憤怒(ふんぬ)相をし、甲冑(かっちゅう)を着て金剛杵(こんごうしょ)を持つが、普通は裸形のものが多く、向かって右方は口を開いた阿形(あぎょう)の像(阿像)、左方は口を閉じた吽形(うんぎょう)の像(吽像)で、前者金剛像、後者を力士像と称することもあるが明らかではない。また、密迹(みっしゃく)金剛(阿像)と那羅延(ならえん)金剛(吽像)とに分けて、別尊のように称することもある。東大寺南大門の金剛力士立像は有名。

[江口正尊]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例