仏谷寺(読み)ぶっこくじ

精選版 日本国語大辞典 「仏谷寺」の意味・読み・例文・類語

ぶっこく‐じ【仏谷寺】

  1. 島根県松江市美保関町美保関にある浄土宗の寺。山号は龍海山。三明院と号する。行基が建立したと伝えられ、後鳥羽上皇後醍醐天皇隠岐配流の時、行在所(あんざいしょ)となった。八百屋お七菩提をとむらうため吉三がここで死んだという伝説があり、吉三の寺ともいわれる。

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日本歴史地名大系 「仏谷寺」の解説

仏谷寺
ぶつこくじ

[現在地名]美保関町美保関

美保湾の北側奥に位置。龍海山と号し、浄土宗。本尊阿弥陀如来。島根半島は修験道には格好の場とされ、密教寺院として建てられた三明さんみよう院が前身という。承久三年(一二二一)後鳥羽院の隠岐配流の際、行宮になったとも伝える。中世後期には無住となり、天正年間(一五七三―九二)に順慶が仏谷寺として再興したという(雲陽誌・美保関町誌)。「郡村誌」では天文六年(一五三七)の再興とされる。「雲陽誌」には「此寺家に古三明院といふありけり、所の者ども是を伽藍といひつたへり、さもあるにや今に堂の内に七体の仏像あり、弥陀釈迦東方の四尊といふて四体毘沙門すべて七仏なり、いづれも聖徳太子の彫刻なり、是寺昔は七堂伽藍の旧跡なり」とある。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「仏谷寺」の意味・わかりやすい解説

仏谷寺
ぶっこくじ

島根県松江市美保関(みほのせき)町にある浄土宗の寺。竜海山三明院(さんみょういん)と号する。本尊阿弥陀如来(あみだにょらい)。聖徳太子の開基、空海の開山と伝えるが、寺伝では行基を開基とする。伝説によると、行基がこの地を巡錫(じゅんしゃく)中に海中に三つの怪火が現れ、土民は「三火(みほ)」といって恐れたので、これを封じるために仏像を刻み建立されたともいう。後鳥羽院(ごとばいん)と後醍醐(ごだいご)天皇が隠岐(おき)に遷幸されたときの仮行在所(あんざいしょ)とされたという。八百屋(やおや)お七の恋人、小姓の吉三(きちさ)はお七の処刑後、各地の寺にお七地蔵を立てたが、この地が最後の納所となった。吉三地蔵とその墓がある。薬師如来、日光・月光菩薩(がっこうぼさつ)、聖観音(しょうかんのん)菩薩、虚空蔵(こくうぞう)菩薩(以上すべて国重要文化財)の平安初期の5体の仏像がある。

[清水 乞]

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