1 《他力(阿弥陀仏)の本願の意》仏語。自らの修行の功徳によって悟りを得るのでなく、阿弥陀仏の本願によって救済されること。浄土教の言葉。
2 《誤用が定着したものか》俗に、自分の努力でするのではなく、他人がしてくれることに期待をかけること。人まかせ。
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阿弥陀仏が一切の衆生を救済しようとしておこした誓願。また浄土教で他力の弥陀の本願を頼むことをいう。他力とはみずからの力によらないで,仏・菩薩の力によって救われること,とくに阿弥陀仏の四十八願,別しては第18願による救済をさす。浄土教では浄土門・念仏行を他力とし,聖道(しようどう)門・余行を自力(じりき)とする。また他力を他力本願の意とし,本願によらないものを自力とする。阿弥陀仏の本願力を名づけて他力とし,仏の本願力を頼む念仏を他力の念仏として,阿弥陀仏の本願力すなわち他力を頼んで,念仏による往生浄土を願うことを他力本願という。
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他力とは自己を超えた絶対的な仏の慈悲(じひ)の力(働き)、本願とは一切衆生(いっさいしゅじょう)の救済を約束する仏の願いをさす。他力本願と熟字するときは、他力である本願ということで、他力がすなわち本願(力)である。このことばは真宗の教えを示す重要な基本用語として用いられるが、本願他力というのが一般である。親鸞(しんらん)は「他力とは本願力なり」と規定し、一切衆生の救済はこれによって成立することを明らかにした。現今、なにも努力しないで他人の力に頼ることを他力本願といっている場合がみられるが、これはまったく誤用である。
[瓜生津隆真]
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〘名〙
① (他力すなわち本願の意) 仏語。自己の修行の功徳によって悟りを得るのでなく、もっぱら阿彌陀仏の本願によって救済されることをいう。
※唯信鈔文意(1257)「これすなはち他力本願无上のゆへなり」
② 事をなすのに、ひたすら他人の力をあてにすることを俗にいう。〔音引正解近代新用語辞典(1928)〕
※松風(1942)〈石塚友二〉「生きて来れたといふのは、悉く先輩知友諸氏の面倒に負ふので、つまり他力本願で生きて来た恰好です」
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仏教で、自己の修行の功徳によって悟りを開くのではなく、もっぱら阿弥陀仏の力によって救済されること。転じて俗に、事をなすのに、ひたすら他人の力をあてにすること。
[使用例] ひとりは無学な成り上がり、しかも他力本願のね。ひとりは苦労しらずの御曹司です。やりにくいですな[佐多稲子*ある夜の客|1958]
[解説] 他力すなわち本願、という意味。
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