伊那(市)(読み)いな

  • 伊那

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

長野県の中南部、伊那盆地北部の中心都市。市街地は天竜川の右岸にある。1954年(昭和29)伊那町と、西箕輪(にしみのわ)、手良(てら)、美篶(みすず)、富県(とみがた)、東春近(ひがしはるちか)の5村が合併して市制施行。1965年西春近村を編入。2006年(平成18)上伊那郡高遠町(たかとおまち)、長谷村(はせむら)を合併。市域は天竜川の両岸にまたがり、右岸は木曽(きそ)山脈から続く小河川の扇状地が段丘面上にかぶさった地形で、左岸はおもに天竜川に合流する三峰(みぶ)川の扇状地及びその東方の山地からなる。近世は南北方向の三州街道と、東西方向の杖突(つえつき)、権兵衛街道(ごんべえかいどう)の交差点にあたっていたので、宿駅として形成された。明治になり、行政機関が設置されてからは急速に発展し、現在はJR飯田(いいだ)線や中央自動車道が通じ伊那インターチェンジがあり、また国道153号と、361号が交差し交通の要地をなす。高遠地区は杖突街道を継承する152号が主要道である。伊那盆地北部の商業中心地でもあり、電子部品や精密工業など機械工場も多い。市街地の対岸天竜川の左岸には、「木曽へ木曽へとつけだす米は……」の伊那節発祥の碑が、また春日(かすが)城跡公園には、伝説上の人物「伊那の勘太郎(かんたろう)」の碑がある。高遠城址公園の1500本にのぼるコヒガンザクラは、毎年4月中~下旬に多くの観光客を集め、9月中旬の勘太郎祭は市の一大年中行事になっている。また、ザザムシ(カワゲラ、カゲロウの幼虫)、ハチの子、馬肉など「伊那の悪食(あくじき)」の本場でもある。農村部は水稲、酪農のほか、リンゴ栽培も増えている。また、羽広(はびろ)観音で知られる仲仙寺(ちゅうせんじ)や、南沢温泉もある。面積667.93平方キロメートル、人口6万8271(2015)。

[小林寛義]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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